基本設定(第1章終了時点)
※ネタバレあります。
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地理
物語の舞台となる国は、しずく型をした最も大きな主島と、中くらいの6つの島と、あまたの小島からなる島国である。
西に大陸があり、昔は交流が盛んであったが、なんやかんやトラブルがあったらしく(異国の宣教師がこの国の神殿を焼いたとか、人や物をさらったとか、色々やらかしたらしい)、現在は鎖国状態であり、国民は自由に海外に出ることはできず、また、海外から入ることもできない。
ちなみに、宣教師が焼いた神殿にはスライムが祀られていた。
限られた国とのみ交易を行っており、その国の商人は大陸との中間にあるチブリ島という小島に上陸を許され、商売を行っている。
チブリ島での取引では主島の名前「ホツマ」を名乗って取引しているが、実は国としての正式名称はまだない。外国はそれぞれの国の言葉で、好きなようにこの国を呼んでいる。
王都は主島の東の沿岸にある。四季と、初夏の長雨があり、温暖で湿潤な日本の南関東によく似た気候である。各地に領があり、各貴族が治めている。
古都クジフルは主島の西の沿岸地方。茶の名産地。
ブルトゥス領は主島の北西部。養蚕が盛ん。
ドルヌス領は主島の南西部。天馬の名産地。
ヒタカミ領は、主島の北にある主島の次に大きい島。冬が厳しく海賊も出没する過酷な土地。『姫騎士と北の海賊』の舞台として有名。
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歴史
①建国
伝説によると、大昔に海神の姫君が主島の西のクジフル地方の漁村を訪れ村の若者と恋に落ち、やがて男児を産んだのがこの国の始まりである。この子供が成長して、この国を統一する初代王イサガになる。この時、都をクジフルに定めた。
イサガ王には、武王や賢王や舞王という三眷属が付き従った。彼ら眷属はイサガ王を
舞王の記録は、イサガ王が亡くなる少し前に途絶えている。
実際には、海神の一族とは、この島国の西方にある大陸の西側からやってきた移民集団である。戦争か天災か宗教的迫害か。何らかの理由で故郷を追われた彼らは、『鯨の箱舟』と呼ばれる船に乗って新天地を目指し、この東の果ての島国に流れ着いた。
海神の一族は、海神の秘術と言う非常に進んだ技術を持っており、漂着した地方を治める土着の豪族と手を組み、島を統一し、豪族の若君と海神の姫君との間にできた子供を初代王とした。
海神の一族は渡来系の貴族となり、今なお王を支えている。
②プルケルの乱
百年ほど前に、食用スライムを管理していた渡来系の一族であるプルケル家が反乱を起こし、鎮圧されている。
反乱の鎮圧の際に、プルケル家の主屋敷は全焼、地方にいた分家を除いて一族はほぼ全滅している。食用スライムに関する知識の多くがこの騒動で失われた。また、箱舟の情報も失われた。
王家は、プルケル家の生き残った分家にスライムの管理を任せた。しかし彼らにはスライムに関する知識がなかったため、現在の食用スライムの危機を招いた。
③遷都
プルケル家の反乱により都クジフルが荒れ、現在の東に王都が移された。
西の人々にとって都は今もクジフルであり、歴史の浅い東の王都のことは「東都」と呼んで下に見ている。
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食文化
庶民の主食は、シリオホラと呼ばれる謎食材の粉で作った平焼きパンである。
シリオホラからは、他にも甘味料や酒や油も作られる。「庶民の食卓はシリオホラでできている」と言われるほどのスーパーフードである。
その正体は
食用の緑スライムは、生けすの堀の中で育てられ、1個が2個、2個が4個…と分裂して増える。満員になったら何個か残して収穫し、また増えるのを待つ。
収穫した緑スライムを乾かしてすりつぶして粉にしたのがシリオホラ粉である。育成条件を変えると油や糖を貯めるようになり、油を搾ったり、甘味料を精製することができる。
食用スライムは大昔に渡来系貴族のプルケル家の祖先がこの国に持ち込んだ物であり、現在の技術では再現することができない。
食用の緑スライムとは別に、無色の野生のスライムもいる。こちらにはほとんど栄養がなく、ほとんど水のため腹はふくれないが、喉の渇きは癒せる。山で遭難した猟師が、野生のスライムのお蔭で生き延びたという逸話から、山あいの地方ではこれを『山の水筒』と呼ぶ。
野生のスライムは世界中のどこにでもいるが、食用の緑スライムは、現在この国にしかいない。
小麦は渡来人が持ち込み、西の涼しい地方や北の島で栽培されている。しかし、この国の気候は栽培にあまり適していないので、あまり収穫量は多くない。高級食材であり、基本的に貴族や金持ちの食べ物。庶民は祭りなどの特別な日にしか小麦のパンを食べられない。
米は過去に大陸から主島にまで伝来していたが、その後にやってきた渡来人が持ち込んだシリオホラが広まって駆逐された。南の群島には今も米食文化が残っている。
最近、米祭りなるものが王都で開催され、主島にも米が再び広まろうとしている。
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宗教
多神教。色々な神様を祀る神殿や祠が各地にある。
王都の神殿は、スライムの神(ショゴス)が主祭神である。
秋祭りの日の朝、7歳の子供は神殿に集められ、神職から健やかな成長を言祝がれ、名前と数字の書かれた札をもらう。このとき、希望者はイサガ金貨1枚のお布施をすれば、神殿で魔力測定をしてくれる。
他にも、渡来系の家には晩秋の頃に『海神祭』という独自の祭りがある。先祖が故郷を追われ、箱舟の鯨に乗ってこの東の果ての島国にやってきたことを振り返る祭りである。
鯨に乗って逃げる間、食糧は乏しく、スライムのパンを分け合って生き延びたことを思い出し、その日はどんな金持ちも、スライムのパンと水だけで過ごして、航海の無事を海神(ダゴン)に感謝する。
基本的にどの神を信仰しても良く、他宗教についても寛容だが、大陸の西側で広く信仰されている一神教のディヤウス教に対してだけは不寛容である。鎖国前にディヤウス教の宣教師が色々やらかしたせいだと言われている。
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暦
霞染月 1月(だいたい)
風氷月 2月
初花月 3月
(春分/春祭り)
芽月 4月
萌月 5月
雨月 6月
(夏至)
雷月 7月
熱月 8月
実月 9月
(秋分/秋祭り)
紅葉月 10月
初霜月 11月
雪待月 12月
(冬至/大晦日)
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時刻
0時(10時) 0:00(24:00)(だいたい)
1時 2:24
2時 4:48
3時 7:12
4時 9:36
5時 12:00
6時 14:24
7時 16:48
8時 19:12
9時 21:36
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通貨
ヤサカ金貨=100,000ケノ
イサガ金貨=10,000ケノ
ツ銀貨=1,000ケノ
イセ銀貨=100ケノ
キ銅貨=10ケノ
ケノ銅貨=1ケノ
シリオホラのパン1個が、だいたいキ銅貨1枚とケノ銅貨2枚(12ケノ)。
魔力で個体識別する銀行システムがあるので、紙幣は発達しないかも。
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魔力(マジア)
魔力は全ての生き物が持つ力である。魔力の量、色、紋は人それぞれで、同じ魔力を持つ人は2人といないと言われている。
魔力の量は成長と共に変化するが、色と紋は生まれた時から死ぬまで変わらない。
7歳の秋祭りにイサガ金貨1枚のお布施をすれば、神殿で魔力測定をしてくれる。
灯りの魔道具などの魔道具は魔力で動く。魔力を良く溜める蓄魔石に人間が魔力を入れ、魔道具を動かす。蓄魔石には
騎士や傭兵は、魔力を戦いに用いる。
騎士の魔力の使い方は、基本的に身体強化のみである。
傭兵の一族には雷魔法を使う者もいる。
天馬は、魔力を使って風を出して空を跳ぶ。
魔力とは生命力である。
魔力の回復は、何といっても食事して眠ることである。即効性のある魔力回復は、クエン酸とブドウ糖の摂取である。
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鯨の箱舟
人間を百人以上収容し、様々な植物を種子の状態で、様々な動物を胎児よりも小さい状態で凍らせて保存し、海の底を泳いで大洋を渡ることのできる船の名前。渡来人はこの船に乗ってやってきた。
天馬も食用スライムも、その箱舟の鯨に乗せてきた。
渡来人は、入植後は箱舟を秘密の場所に隠し、代々限られた人間だけにその場所を伝えてきた。しかしその知識を持つプルケル家本家の者たちは、百年前の政変で全員失われてしまい、箱舟の位置を記録した家宝の魔道具も失われてしまった。
箱舟の中には、古代文明の生物や魔道具といったお宝が今も眠っていると言う。
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