第3話 見えない鐘の音 ー イサム
日課の散歩をしていると、道路のわきにムスカリの小さな花が群生しているのを見つけた。風に揺れると鐘の音が聞こえそうな紫の花をしばし眺め、「また、この季節がやってきたか」とつぶやいた。
その時、車がすれ違うのに気づいた。最近の車はみんなAIやTIで制御されているため、滅多なことでは轢かれないが、音もなく走る自動車には慣れず、いつもびっくりしてしまう。
運転席を見ると、若い女性が乗っている。彼女が新しく追加された住民だろうと思い、頭を下げた。新しい住民は、突然のことで反応ができないことが多い。
これも毎年のことだなと思いながら走り去る車を見ると、ルームミラーに、苦笑いしながら小さく頭を下げる女性の姿が映った。
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