第11話 視聴者side1
《side三人称・視聴者視点》
配信を見ていた視聴者たちは、突然の地震とダンジョン内の混乱に驚き、次々とコメントを打ち込んでいた。
最初は緩やかだったチャット欄が、地震の開始とともに一気に加速し、嵐のような勢いで流れ始める。
『え、なにこれ!? 地震!?』
『やばい、なんかやばいこと起きてない?』
『ダンジョン崩壊?』
『この人、地震の発信源にいるの?』
『何が起こってんだ、早く説明してくれ!』
地震が起こった瞬間、配信画面が激しく揺れた。
視聴者たちは、自分たちが見ている配信の異常事態を目の当たりにしていることに気づき、混乱した様子をコメントに書き込んでいた。
画面には、崩れる岩や倒壊していくゴブリンの巣穴の映像が映し出されているが、配信者であるユウタは、その最中でも冷静に状況を把握し、避難を試みている。
『おいおい、マジでやばいじゃんこれ!』
『リアルでこんなこと起こるなんて、ダンジョン崩壊とか怖すぎ』
『ちょっと待って、今何が起きてるの? 誰か説明して』
『ユウタさん、無事でいて!』
『落ち着け、まず逃げるしかないだろ!』
『お兄ちゃん! お兄ちゃん!』
『妹ちゃんの心配が伝わってきて泣きそう……』
コメント欄は次第にパニックになり、視聴者数も急激に増え始めた。
最初は静かに観ていた人たちも、この異常な状況に気づき、次々に配信に集まってくる。
いつもは数十人の視聴者だったが、このダンジョン崩壊という未曾有の事件によって、瞬く間に数百人にまで膨れ上がった。
『なんでこんなことが起きてるんだ?』
『誰か解説してくれよ、地震だけじゃないだろ?』
『もしかしてゴブリンたちが何かヤバいものを呼び寄せた?』
『ダンジョン自体が壊れるって、どういうことなの?』
『これは完全に異常事態だよな……』
『ユウタさん、本当に無事でいてくれ……』
この異常な事態を目の当たりにし、視聴者たちは次第に冷静を取り戻し始める。
彼らは考察を交えながら、なぜダンジョンが崩壊しているのか、何が原因なのかを推測し始めた。
何か巨大な力が働いている、もしくはゴブリンたちが大きな間違いを犯したのではないかという意見が飛び交う。
その一方で、ユウタが魔女っ子を助けるシーンが映し出されると、視聴者たちは一気に沸き立った。
『あれ!? 魔女っ子がいないじゃん!!』
『ハーレムパーティーの奴ら、魔女っ子を置き去りにしたのか?』
『うわ、最悪だな……あの三人、マジで見捨てたのか?』
『リーダー格のあの男、なんかムカつくわ』
『おいおい、見捨てて逃げるとかありえないだろ……』
『最低……これだからハーレムパーティーは……』
『お兄ちゃん、早く助けてあげて!』
魔女っ子を放置したハーレムパーティーの行動に対する怒りが爆発する。
リーダーの少年、弓使い、盾持ちの女性たちに対する非難の声が次々と上がる。
彼らの無責任な行動に、視聴者たちは一斉に「吊し上げ」状態となり、激しい怒りをぶつけていた。
『ほんと最低。仲間なのに見捨てるなんて』
『あのリーダー格の男、まじでゴミだな』
『何がハーレムパーティーだよ、ただのクズ集団じゃん』
『弓使いの女も強そうに見えたけど、結局見捨てるんかい』
『盾持ちの女も、ただの筋肉バカじゃん!』
『ハーレムなんていらねーよ。仲間大事にしろよ』
次々にコメント欄が彼らを非難し続ける中で、ユウタが果敢に魔女っ子を助けようとするシーンが映し出されると、今度はユウタに対する賞賛が一気に集まった。
『さすがお兄ちゃん! 勇者だぜ!』
『お兄ちゃん、かっこいい!』
『これは本物のお兄ちゃんヒーローじゃん!』
『お兄ちゃん、ちゃんと人を助けるところがすごいよ!』
『あんな状況でも冷静に動けるなんて、お兄ちゃんを尊敬するわ』
『お兄ちゃん、魔女っ子を助けてくれて本当にありがとう!』
視聴者たちは、ユウタが一人で魔女っ子を救い出し、退路が塞がれた中でも冷静に行動する姿に感動していた。
その行動力や判断力、そして危険を顧みずに仲間を助けるその姿に、ますます視聴者数が増えていく。
『お兄ちゃん最高だよ!』
『これでファンになったわ』
『ハーレム野郎とは違う! 本物の冒険者はこうでなくちゃ!』
『かっこよすぎる……』
『この人の配信、見てよかった』
『次も絶対見るわ、ユウタさん最高!』
一方で、視聴者たちはダンジョン崩壊の原因についても考え始める。
『でも、なんでこんな地震が起きてるんだ?』
『ゴブリンたちが何かヤバいことしたのか?』
『地下の奥に何かあるんじゃないか?』
『これ、ゴブリンの仕業じゃない気がする……』
『何かもっと巨大な存在がいるんじゃないか?』
『ボス級の魔物がいるのかもしれない』
『いや、まさかドラゴンとか? そんなわけないか』
『でも、ゴブリンだけじゃこんな崩壊はあり得ないよな』
視聴者たちは次第にこの異常な事態の原因を探ろうとし、様々な憶測を立て始めた。ダンジョンの崩壊はゴブリンたちだけの力では説明がつかないと考え、何か巨大な力が働いているのではないかという結論に至りつつあった。
その頃、ユウタがダンジョンの奥へと進む映像が映し出され、視聴者たちも固唾を飲んで見守っていた。
魔女っ子を背負いながら進んでいくユウタの姿は、まさに勇者のように見えた。
『次、何が出てくるんだ……』
『まさかこの奥に……何かが……』
『お兄ちゃん、気をつけて!』
『何かすごいことが起きる予感がする』
『これ、やばい展開じゃないか?』
『頼む、無事でいてくれ……』
そして、ダンジョンの最奥でユウタが出会ったのは、暴れ回る樹木のモンスターだった。視聴者たちはその異様な光景にさらに騒ぎ始めた。
『え、なにあれ!?樹木のモンスター!?』
『まじかよ、こんなの聞いたことないぞ!』
『これ、普通にやばいやつじゃん……』
『巨大なモンスターが暴れてる! ゴブリンをどんどん倒してる……』
『ゴブリンが養分にされてるとか、怖すぎる!』
この樹木のモンスターが、ダンジョン崩壊の原因であることが分かり、視聴者たちはその異常な力に震えていた。
そして、ユウタがそれを討伐すべきかどうか、視聴者たちの中でも議論が巻き起こる。
『今なら倒せるだろ、やっちゃえよ!』
『いやいや、あれは無理だって……』
『高ランク魔物だろ? 倒せば報酬すごいぞ』
『でも、あんな相手に勝てるわけないよ!』
『うーん、これは一か八かだな……』
コメント欄は討伐を期待する声で溢れたが、サクラのコメントがその流れを変えた。
『お兄ちゃん、助けてあげて!』
『苦しそうだよ……』
このサクラのコメントに反応し、ユウタは魔物を倒すのではなく、助けようと決断する。そして、視聴者たちもその行動を見守り、ユウタの選択に感動する声が次々と上がった。
『お兄ちゃん、優しい……』
『お兄ちゃん、やっぱりすごいよ』
『これが本物のお兄ちゃんヒーローだな』
『魔物を助けるなんて、普通じゃ考えられないよ……』
『妹ちゃんの言葉が心に響いたわ』
『結局、殺さなくてよかったんだな……』
視聴者たちは、ユウタが魔物を救うことを選んだことに対し、賞賛の声を送った。
その優しさと冷静な判断力に、ますます視聴者数が増えていき、この配信は一躍話題の的となった。
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