第7話 白に忍び寄る影

 ジングルベールジングルベール♪ジングルオールザウェイ♪

 今日はクリスマスイヴ。

 テレビでは商店街で盛り上がっている様子が映っていた。

 僕、鈴川修吾は鈴野瀬さんに誘われて、カラオケに来ている。

 メンバーは僕と鈴野瀬さんとまなびとさんこと学人の三人である。

 「まさか、鈴野瀬さんと学人がしりあいだったなんてなぁー。」

 「おや、そんな意外でしたかね?わたくしも少しは話す能力はありますよ。」

 「こうみえて秋永君とよく話すんだよねぇー!秋永君最近の小説の具合はどう?」

 「えぇ。順調ですよ!今回の新作なんて...」

 と、こんなふうにカラオケに来たのにさっきからずっとおしゃべりしている。

 僕はそろそろ歌いたいんだけど...。

 「修吾氏、修吾氏。今日はあの方たちは来てないんです?」

 学人が小声で聞いてきた

 「あぁ、今の時間帯は寝てるかもね。基本夜に起きているから。」

 文化祭の時は起きていたが、普段は朝は寝ている二人。

 二人はとにかくよく寝言を言う。今日も...

 「修吾くーん、そこの火災報知器は押したらだめだよぅ。__zzz」

 「おい修吾、勝手に消火器は使うなとあれほど、__zzz」

 やれやれ、二人の夢の中の僕は火災装置を好んでいるのだろうか。

 「ふむふむ。なるほど。そーゆうことでしたかー」

 「てかそろそろ歌わないかい?僕、まなびとくんの歌聞いてみたいなぁー」

 「あ!私も聞きたーい!」

 「私の名前はまなびとではなくです!二人そろって覚えてください!!!では、私はこの曲を...」

 その後、学人の音痴な...ゴホン!ユニークな歌い方でしばらく沈黙が続いたのだった。










 「おい!修吾!大変だ!」

 学人たちと別れて、神社についた途端、冷夏さんが焦っているようだった。

 冷夏さんがこんな焦っているのは珍しいな。

 次の言葉を聞いて僕は動揺した。

 「零が...!連れていかれた...!!」

 僕は一瞬頭が真っ白になった。

 「え...?零が...?どうして...?」

 冷夏さんによると目が覚めたら、外から零の悲鳴が聞こえてきたと。

 外に出ると、マスクをかぶった二人が零を担いでいったとのこと。

 助けようとしたが、黒い霧ブラックフォーグは全然効かず、謎の呪文で動けなかったらしい。

 「私が...もっと早く気づいて...もっと強くなっていれば...こんなことに...」

 冷夏さんは雫をこぼしていた。

 「冷夏さんは何も悪くないよ。助けようとしてくれてありがとう。」

 僕は冷夏さんをギュッと包み込んだ。

 「ほんとに...ほんとに...すまん....」

 冷夏さんは僕の腕の中で声をあげて泣いた。






 少し落ち着いて、連れ去った二人の特徴を知るべく、僕と冷夏さんは防犯カメラのチェックをすることにした。

 職員さんに許可をもらい、さっきの時間までさかのぼった時。黒いマスクをした二人が神社の事務所に行く姿が映っていて何かを担いでいるようなしぐさをしながら車に乗っていたところもばっちリ写っていた。

 「冷夏さん。こいつらで間違いないですか?」

 「あぁ、間違いない。こいつら絶対に許さない....!!」

 「僕も同意見です...。一刻も早く助けに行きましょう!」

 早く零を助けないと、何をされるかもわからない。

 しかし、今どこに零がいるのか情報がない。

 「クソっ!。何か手掛かりがあれば...!」

 せめて、犯人がだれなのかだけでも知っておきたい。

 クソっ!このまま手掛かりがないまま終わってしまうのか。

 いや、待てよ...。零のことが見える人といえば...。犯人はあいつしかいない!

 「そうだ!!もうこの作戦にかけるしかない!冷夏さん!ちょっといいですか?」

   










 「離してください!!!あなたたちなんなんですか!!」

 「チッ...。霊のくせにうるさいやつだな。おい。こいつを黙らせろ。」

 「かしこまりました...。口封じサイレント。」

 「ムゥ!!!!ムゥーー!!!!」

 (修吾君...!!!冷夏さん...!!!助けて...)

 「なんど喚いたって無駄だ。眠りの誘いスリープリセット。」

 「ムッ!!!」

 「ふんっ。最初からこうするべきだった。」

 「ご主人様...。到着いたしました。」

 「ご苦労だった。さて、あいつらが来る前に作業をやるとしようか。」

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