第4話 女の子の気持ち

 11月半ば、もう寒くなってコートを着て登校することが多くなった今日この頃。

 僕は、今とてもまずい状態になっている。

 その理由が....

 「絶対に今年の文化祭の出し物は焼きそばがいいに決まってるだろ!?」

 『何言ってるの!?今年はパンケーキがいいに決まってるでしょ!』

 そう。文化祭のクラスの出し物で何をするかで絶賛もめてる最中なのだ。

 僕のクラスは僕含め31人いる。

 それで僕以外は全員票をあげていて、15対15と同点なのだ。

 つまり、僕の一票で全てが決まる。

 くそっ...!どうして昨日熱を出して学校を休んでしまったのだろうか。

 正直に言うと...僕は焼きそばにしろ、パンケーキにしろ、

 どっちでもいいと思っていた。

 ただ、そんなことをみんなの前で言えるほど僕はメンタルが強くない。

 「修吾は、焼きそばがいいに決まっているよな?」

 『鈴川くんはパンケーキ側だよね?』

 おっと、言葉の矛を向けられてしまった。

 困ったなぁ。なんて返そうか。

 「なぁ!修吾!お前はどっちの味方なんだよ!」

 『鈴川くん!どっちなの?!』

 あーもう!せかさないでくれよ!

 「もうどっちもやっていいんじゃない?どっちもホットプレートで作れるし、」

 僕はもう覚悟をきめてこの言葉を発した。

 きっとみんな非難してくるんだろうなぁ。

 あぁ...またボッチライフに戻ってしまう。

 あ、元々ボッチだった。

 なんて自分でツッコんでいたら、意外な返答が来た。

 「『めっちゃいいじゃん!!」』

 へ?いいの?

 「お前、いいアイデアじゃん!すごいな!」

 『これなら、けんかにならずにみんなが納得できるね!ありがとう鈴川くん!』

 なんと僕の意見が通ってしまった。

 まぁ、これでもめ合いがなくなるのならよかった。

 ピロリンッ

 「ん?おい修吾、携帯なってるぞ。」

 クラスメイトに言われて開くと案の定母からだった。

 「お母さん今日会社の飲み会行くから帰り遅くなるのでご飯自分で作っといてね」

 僕の親は共働きだ。お父さんは単身赴任で遠い県で働いているので、

 今は母と二人暮らしだ。

 母さんは会社で仕事をした後に、神社の手伝いに行っている。

 だが今日は、会社で飲み会があるみたいなので家の中は僕一人になる。

 神社のシフトが入っているとはいえ少し寂しいなと思う。

 いや、僕は決してマザコンってことではない。断じてない。

 母にRINEで返事をした後に、僕は机に突っ伏した。



 

 学校が終わり、神社につき、ほうきで落ちた葉っぱなどをはいていた。

 「寒くなってきているせいか、今日はやけに葉っぱがおちてるなぁ」

 最近は12月並みにさむくなってきており、この前最低気温8度を記録した。

 「やっぱりこうゆうときは、あったかいスープで温まろう」

 一通り仕事を終えて自販機に行こうとしたら、誰かに話しかけられた。

 「修吾、何をしている?」

 冷夏さんだった。今頃起きたのだろうか。すっごい寝ぐせだ。

 「あぁ、冷夏さんおはようございます...じゃなかったこんばんはです!とても寒かったので、何か温かいものでも買おうと思っていたんです」

 「なるほどな。私もここ最近寒くて圧布団にしないと眠れないくらいに寒いからな」

 霊も寒さ感じるんだなぁ。あれ、デジャヴを感じる。(第二話参照)

 「お、あったあった!やっぱりこの寒さにはコーンスープだねぇ。」

 おじさんみたいなこと言ってると冷夏さんが聞いてきた。

 「なぁ修吾、そのコーンスープってどんなものなのだ?」

 どうやら冷夏さんはコーンスープを飲んだことがないみたいだ。

 「ん?飲んだことないんですか?それはもう、めちゃくちゃおいしいですよ!

 特にこの寒い時期はもう最高です!よかったら少し飲みます?」

 「いいのか!?では失礼...うむ、すごく温まるなぁ。とても美味く....ハッ!//

こ、これって関節接吻かんせつせっぷん...//(小声)」

 なぜか冷夏さんは顔を赤くしている。なんでだろう。

 「冷夏さん?どうしたんですか?」

 「なっ///なんでもない!!とにかく!スープくれてありがとうな!そ、それじゃあ!」

 と言って冷夏さんは見えなくなってしまった。

 急にどうしたんだろう?まぁいっか。

 うん。コーンスープ美味い。

 


 「ねぇ冷夏さん。さっきから顔を隠してなにかあったの?もしかしてお熱?」

 「わ、私は大丈夫だから。心配ないぞ...」

 (なんなんだ...この感覚は...生まれて初めての感覚だ...!一体どうしちゃったんだ

 私..!)

 「うぅーーーー///!!!!」

 その後の零情報によると冷夏さんは昨晩ずっと布団で顔を隠していたらしい。

 「なんかずっと『修吾と...修吾と...』って言ってたんですけど昨日私が寝てる間何があったんですか?」

 この二人は幽霊だからなのか、朝から夕方まで寝ている。

 昨日のことといえば冷夏さんにコーンスープをあげたくらいだ。

 「うーん僕もよくわからないんだよねぇー。飲みかけのコーンスープあげたくらい?」

 「え?修吾くんそれが理由じゃないんですか?」

 零がどうして気づかないの?って顔をしてみてくる。

 「え?僕なんか変なこと言った?」

 その後、零から女の子の気持ちもわかってください!と怒られた。

 僕はどうやら鈍感みたいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る