第3話 新しい友達?
零と友達になってから、僕はできるだけ神社手伝いのシフトをたくさんいれた。
別に、零のためとかそんなんじゃないんだからね!
とか王道系のツンデレキャラではない僕だが、零ともっとかかわりたいということも含まれていないというと嘘になる。
ちなみにシフトのことを母親に言ったら、
「あんた、前までめんどくさいとか言ってたのにいきなりどうしたのよぉー。
ハッ!さては、ボーナス目当てね!もうっ!お母さんに言ってくれればお金出すのにぃ」
だから母親よ...僕は金にがめつい男じゃないんだってばよ!。(第一話参照)
なんてさっきのことを思っていたら、神社に到着した。
「あ、修吾くーん!こんばんはぁー!」
階段を上ると、零がこっちに手を振ってくれた。
「よぉ!昨日ぶりだけど、どうだ?ここの部屋は、ちょっとは慣れた?」
最近参拝客が増え、中には零目的で来る人もいるし、なによりすっかり秋だというのに太陽さんが元気すぎるので夜でも暑すぎるということから、神社の事務所の部屋にいてもらっている。
「はい!前よりはだいぶ慣れました!まだ暗いのは慣れませんけど...」
ここの部屋は、蛍光灯が少し古いので新しい蛍光灯になるまで少し暗い状態だ。
幽霊も、暗いの苦手なんだなぁ。
「そういえば、修吾くん。さっきまで学校だったの?」
「あぁ、うん。さっきまで友達と小説のことを話しながら帰ってたよ。」
「そうだったんだ!友達さんと修吾くんはとても小説が好きなのですね!
私も生きているときは、小説読むのが好きで、特に恋愛小説がすきだったんだ!」
びっくりした。まさかこんな近くに仲間がいると思わなかった。
「じゃあ、またここに来るときは何冊か恋愛小説をもってくるよ」
「本当!?ありがとう!」
やっぱり幽霊になっても好きなものは変わらないんだなぁ。
コンコンコン
ん?だれだろう?今の時間帯誰もシフト入ってなかったと思うけど、
「はーい、どうしま...っ!?」
外に出ようとした途端、とてつもない怨念を感じる。
ガタッ
ドアが開いたと思えば、とてつもなく怒りを表したオーラをだだよっている女の霊が立っていた。
「な、なんだ!?こんな怨念を感じたのは初めてだ...」
圧に飲み込まれそうになった時、その霊が言葉を発した。
「貴様、零とどういう関係だ...」
零?この人零と知り合いなのか?と思ってたら、零が前に出て言った。
「
「!!?」
「騙されるな!人間というのはな、私たち目当てに訪れては紙くずやたばこの吸い殻のごみを躊躇なく捨てて私たちの縄張りを平気で奪うひどい生き物なんだぞ!」
その言葉を聞いて僕は10日前のことを思いだす。
テレビを見ていた時に、墓場や神社などが宴会や肝試しをするためにごみをそのままにして散乱している映像を見たことある。この霊もきっと一部の人間のせいでつらい思いをしてきたんだなと思う。
「今までつらい思いをしてきたんだな。」
その霊を慰めると、今にも泣きそうな感じだった。
「お前らのせいで...お前らのせいで...私の居場所がなくなってしまった!なにもかもおまえら人間のせいでっ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
その霊は人間を恨む怨念をまとい、先ほどの姿とは比べ物にならないくらい変わっていた。
「ユルサヌ........ユルサヌ.......ユルサヌ.......!!」
霊は、僕めがげてすごいスピードで飛んできて、黒い霧が体を覆った。
ウッ...!!
体がズキズキしてすごく苦しい。
苦しい体を動かそうとするが、体中が苦しくて動けない。
「コレデ.....オワリ.....トドメ.....サス.....!」
もう駄目だと思い、目をつぶった。お母さん、ありがとう。
だが、何か当たった感触はなかった。
見ると、零が前に立っていた。
「冷夏さん!もうやめて!この人は...修吾くんはそんなことしない!修吾くんは、私だけじゃない、困っている人に躊躇なく助けることができる!さっきだって、冷夏さんのことを心配してくれた!だから、修吾くんをこれ以上傷つけるのはやめてください!」
零の必死な願いに、冷夏の手が止まり、零に聞く。
「ナゼ...ソコマデ....ニンゲンヲ.....シンジル?オマエモ.....ヒドイコト.....サレタノニ.....」
「私も、前まで人間は怖かった。ゴミを平気で捨てる人や、道端に唾を吐く人だっていていい印象とはいえなかった。だけど彼、鈴川修吾くんに出会ってから、やさしい人間もいると分かった。だから私は修吾くんを信じる。例えどれだけ非難されても、どれだけおかしいといわれても!ずっと信じ続ける!」
「!!!!!」
冷夏さんについていた怨念が徐々に消えていく。
「私、人間を信じてもいいのか...?また、私の場所を...私の大切なものを奪われたりしないか?...」
冷夏の目には雫が見えた。
「大丈夫だよ。僕はそんなことをしない。それに、そんなことをする人がいるならば、僕は注意だってするし、なんだってするよ。」
「でも...いいのか...?私、人間じゃないのに...。」
「人間にしても、人間じゃないにしても、助けることに理由はいらない。だから僕を、僕たちを少しずつでいいから頼ってほしいんだ。」
「ッ...!!!!!!ありがと...貴様...いい奴なんだな。」
冷夏の雫が落ちるとともに、黒い怨念が消えていった。
僕は、冷夏さんを落ち着かせるために零と一緒にそばにいた。
「私、
死因は過度のストレスらしい。生きていた時も、何をしても頼られて、
徐々にプレッシャーを感じていた。
ある時、遂にプレッシャーに負けてしまい大きな失敗をしてしまった。
その途端、みんなから痛い視線が飛び交い誰からも喋られなくなった。
クラスメイトだけでなく担任の先生、後輩、学校中の人に無視されるようになった。そこから私は人間が嫌いになり、自分も嫌いになっていた。
だけど、死んだあとに零と出会って、初めて友達と思えるような存在ができた。
零と話していると、不思議と本音がいえた。
そして昨日、零が嬉しそうに帰ってきて
「新しいともだちができたんだ!」
というから、少し気になって見に行ったら人間と一緒にいた零を見た。
人間と楽しそうに話す零をみて、私は人間に騙されていると感じた。
それから後の出来事がさっきのことだ。貴様みたいないい奴もいると分かった。 さっきはすまなかった。これからも零のことをよろしく頼む。」
冷夏のまっすぐな眼差しをみて、僕は答える。
「うん!勿論だよ!それと、冷夏さんもこれからも共によろしくお願いします!」
「っ!!!あぁ、よろしく頼むぞ!修吾!」
こうしてまた新たに不思議な友達が増えた。
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