補欠くんの手帳 〜短歌ときどき俳句〜

大和田よつあし

000.〈補欠〉2023年以前の補欠くん


 2023年以前に作成した補欠の歌たちです。

 第2回カクヨム短歌・俳句コンテストでは、質的には今一つ、構成上使いにくかった歌ですが、第3回までに推敲、もしくは構成上使えそうな場合の為に、ここに残しておきます。

 定期的に読むことで、何か閃くことを期待したいものです。



夏空に吸い込まれていく白球と

入道雲と遠雷の響き



迷いみち戻れば済むと知りながら

前へとあゆむ誘惑に



あめんぼがはし水面みなも

いくつもの波紋に押され秋天しゅうてんゆが歪む



珈琲カフェ好きの集まるお店

空席の予約席には淹れ立ての珈琲カフェ



君の手に水風船のゴムの紐

割れてしまったやさしい時間



わかんないよと返されて

泣きそうな顔の女の子と秋茜



春ぬくし綿毛とともに飛ばんとす

猫の冬毛を片付ける日々



庭の香に花吸い鳥は迷いきて

無垢な子猫の誉れとなりぬ



小さな鍵と鎖骨をなぞる細い指

ラテン語の意味だけくれたひと



長細い金属色の蛇口にて

映る肖像の歪みし朝



冬日の波の起伏に反射する眩しく怖い

冷たいひかり



凛とした凍える夜に背を丸め

降り立つ駅は氷雨の香り



でたらめに癒着した卑怯傷がある

逃げてはひとつ

逃げてはふたつ


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