第5話 封印解除リボンの儀式

ユカリとユリンは、リボンによる儀式を通じてユカリの封印を解こうと決意した。二人はリボンを用いた儀式を準備し、それを実行することで心の繋がりを深め、ユカリの封印を解放するために封印解除の儀式を執り行うのだった…。



放課後の教室が静まり返り、ユカリとユリンは机の上に広げたリボンと道具を見つめていた。教室の窓から差し込む夕日の光が、二人の決意を一層明るく照らしていた。


「これがリボンね。ちゃんと準備できたかな?」ユリンが心配そうにリボンを見つめながら言った。


「うん、大丈夫。これで封印が解けるなら、私もリボンも頑張らなきゃね。」ユカリは深呼吸しながら答えた。


リボンは淡いピンク色で、二人がそれぞれの血液で染められていた。これは、互いの感情を強く感じ合うための重要なアイテムだった。リボンを用いた儀式は、二人の心が一つに結びつき、ユカリの心の封印を解放するためのものだった。


「準備が整ったら、リボンを結ぶ…。」ユリンがゆっくりと説明した。「リボンを結ぶことで、私たちの心が互いに通じ合うようになるの。」


ユカリはリボンを手に取り、心を落ち着けながら「それじゃ、始めよう。」と決意を新たにした。二人はお互いの腕にリボンを結びつけ、それぞれの手で結び目をしっかりと固定した。リボンが優しく二人の腕を包み込み、そして儀式にのっとり二人は口づけを交わす。その瞬間、二人の心の奥深くで何かが反応するのを感じた。


リボンを結んで口づけをした、二人はしばらく静かに目を閉じていた。心の中で静かな波紋が広がり、互いの感情や思いが手に取るように伝わってくるのを感じた。ユカリの胸の中に、封印されていた過去の記憶が次第に蘇ってきた。



突然、ユカリとユリンは異なる感覚に包まれた。二人の体が入れ替わる感覚が訪れ、目を開けると、互いに自分の姿を見ることができた。ユカリの目にはユリンの体が映り、ユリンの目にはユカリの体が映っていた。


「これが…ユリンの体?」ユカリは驚きと戸惑いを隠せなかった。彼女はユリンの体を鏡のように見つめ、自分の体の動きがどのように感じられるのかを確かめようとした。


一方、ユリンもユカリの体で自分を動かしながら、ユカリがどのように感じているのかを体験していた。「ユカリの体、なんだか柔らかくて、でもすごく強い感じがするね。」とユリンは感想を述べた。


入れ替わりの感覚は非常に奇妙で、身体の感覚だけでなく、互いの思考や感情も共有することができた。ユカリはユリンの感情の中にあった温かさや明るさを感じ、ユリンはユカリの心の奥底に潜む不安や悩みを体験した。


「これが…私たちの心の繋がりか。」ユカリは感動しながら思った。「ユリンの感情や思いが、こんなにも私に伝わってくる。」


ユリンも同様に、「ユカリの心の中にあるものがこんなにも深く感じられるなんて…すごいよ。」と感じ入っていた。


体が入れ替わったことにより、二人は互いの立場や感情を深く理解し合うことができた。この経験を通じて、ユカリの封印が徐々に解けていき、彼女の過去の記憶や能力が再び目覚めていった。


儀式の終わりに、リボンを解くと二人は元の体に戻り、互いの感情と体験がより深く理解できたことで、心の繋がりが一層強まったことを実感した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る