第4話 好きなんて気持ち悪いはずだったのに

 恋する日野さんに恥をかかせてしまった。

 売店の前で余田を挑発した当時の俺にケツバットをぶちかましたい。

 そこで俺は日野さんに謝罪し、俺の黒歴史も聞いてもらうことにした。理由は、俺という人間を日野さんに理解してもらいたかったからだ。


 昼休み、日野さんに、駐車場の片隅にあるベンチまで来てもらった。

 以前日野さんにおごってもらった蓋つきのアルミのボトルに入った無糖と微糖のコーヒーを差し出す。

「申し訳ありませんでした。お好きな方をどうぞ」

 日野さんは静かな目をして、無糖の方を取る。

「余田さんと話したんです。それで、日野さんに迷惑かけたことを謝りたくなって」

「余田さんと、何を話したの」

「人が大勢いる前で、お二人がつきあってるって言ったのは、まずかったと言われました」

「それで?」

「缶コーヒーをいただきました」

 地面に叩きつけたけどな。

「そのコーヒーは、無糖だった?」

「いえ、砂糖とミルクが入ってました」

 日野さんは両方の手のひらでボトルを包んだ。

「あの、俺の黒歴史、聞いてもらってもいいですか」

「黒歴史?」

「俺がどんな思いをして生きてきたか、日野さんに聞いてほしいんです」

 日野さんが澄んだまなざしを俺に据える。俺は思わず背筋を伸ばして座り直した。

「時間、足りる? あと二十分で昼休みが終わるけど」

 はい、と答え、俺は話し出した。


 つきあっていた市村先輩は、俺が所属していた硬式野球部の二年生だった。コントロールの良いピッチャーであり、口数が少なく、クラスでも練習でも試合でもメンタルの乱高下がほとんどないため、教師からの受けは非常に良い人だった。親しい友人は、俺が観察する限り、部内にはいなかった。

 俺は一年生からただ一人、夏の大会のスターティングメンバーに抜擢されたことは前に書いた。市村先輩も俺と状況は同じで、スターティングメンバーに抜擢された、ただ一人の二年生だった。

 俺が殴られたことや、誰が殴ったのか、殴った奴の後ろに背後霊みたいにくっついていた奴らが誰なのかも知っていた。部室で二人きりになった時、冷ややかに先輩はつぶやいたのだ。

「しょせんあいつらは自分の能力のなさを認めたくない弱者だから」

 スターティングメンバーに選ばれた選手には、背番号が与えられる。

 ここで、野球に詳しくない人のために説明する。

 公式戦でもらう背番号は守備位置と関連しているんだ。

 一がピッチャー。

 二がキャッチャー。

 三がファースト。

 四がセカンド。

 五がサード。

 六がショート。つまり高一の俺。

 七がレフト。

 八がセンター。

 九がライト。

 それ以降は控え選手の番号になる。ちなみに二〇二三年から登録選手数が二十名までになったけど、それまでは十八名までだった。

 背番号は手縫いでつける。自分で縫いつける奴はほとんどいないだろう。たいてい選手の母親が縫っている。俺んちもそうだった。母親がいないうちは、縫える人が縫うんだろう。

 つまり九人の中で、七人が三年生、二年生は市村先輩だけ、一年生は俺一人。

 ――ミスしたら半殺しだからな、一年坊主。

 三年生からの「圧」を左右と背後から受け、俺がどれだけ肩身が狭かったか想像がつくと思う。

 しかし俺について悪感情をいだいているとしても、連携しなければ守備が機能しない。グラウンドにいる時だけは三年生からの嫌がらせは止まった。

 だけどベンチに戻れば嫌がらせは再開される。打てない時には思いきり罵倒された。

「何やってんだよ。ボール見えてんのか」

 そういう時、市村先輩は罵倒した三年生に、例の冷ややかな声と視線を向けるのだった。

「そういう先輩はどうなんですか。ファウルが多すぎだし、ゴロばっかじゃないですか」

 市村先輩は打率も安定していた。だから三年生を黙らせることができたのだ。

 けど、俺だって負けてはいなかった。

 とにかく正確なプレーをした。嫌がらせは徐々に減っていった。

「実力もねえ弱者は黙ってろ」

 ほんとにこう言って、三年生を黙らせたこともある。


 こんなストレスフルな部活動の息抜きは、同じクラスでつきあっていた瑠璃子だった。

 瑠璃子は身長一六二センチで手足は長く、胸と尻はぺったんこ。つきあうきっかけは、瑠璃子に相談されたこと。俺とは小、中学校が同じだったし、お互いの家に遊びに行く仲だったから、声をかけやすかったんだろう。彼氏が浮気していて、悩んでいた。

 ――瑠璃子とヤりたい。

 相談に乗っているうちに俺はそう思うようになっていた。

 瑠璃子も同じだった。

「健、セックスしよ」

 夜のファミリーレストランで、手を握られた。

「うちに来て」

 俺もその手を両手で包んだ。

「いいのかよ。お父さんとお母さん、いるんだろ。あと珠美ちゃんだっているじゃん」

 珠美ちゃんは瑠璃子の十歳下の妹だ。

 うっとりした目で瑠璃子が答える。

「パパはオーストラリアに出張してる。来月まで帰ってこないよ。ママと珠美はおばあちゃんちに泊まりがけで行ってるから。おばあちゃんね、明日、手術するの」

 コンビニエンスストアでお菓子やジュースを買うついでにコンドームを買い、瑠璃子の部屋のベッドに直行する。

 脱ぐと意外と胸がでかかった。

「あたし、小六の頃から、健いいなって思ってたんだよ」

「俺も瑠璃子、いいなって思ってたよ」

 嘘じゃない。でも同時に俺は、小六で同じクラスだった男にもときめいていた。そいつはスイミングに打ち込むイケメンだった。一緒に小学校の校庭でサッカーをしているだけで胸がキュンキュンしたっけ。それはここでは言わないでおく。

 俺と瑠璃子は健全きわまりない交際を続けた。瑠璃子がこの一言を口にするまでは。

「ずっと、あたしだけの健でいてね」

 その一言は俺の頭上に落下し、俺を地面に埋め込んだ。

 ――重い。

 そこから瑠璃子と会う回数や、瑠璃子に送る無料通話アプリのメッセージを減らすことにした。

 瑠璃子はまったく、俺の本心に気づいていないようだった。


 結局、その年の夏の大会では準決勝で敗退した。相手は優勝候補の、県外出身の選手だらけの私立だった。だが九回裏、俺たちの攻撃で一点差まで迫り、追加点もないまま試合が終わった。

 開校以来初の準決勝進出に、教師たちはご満悦だった。

 俺はといえば、これでうるさい三年どもと練習しなくて済むと思って、ほっとした。

 夏の大会後から市村先輩とのつきあいが始まった。

 最初は大型ショッピングモールへ遊びに行った。隣で歩くうちに、先輩の均整のとれた一七八センチ八十キロの体にさわりたい衝動が生まれた。先輩は顔だちも良かった。服の下を見たい気持ちが時間と共に上昇する。

 俺は先輩に耳打ちした。

「二人きりになりません?」

 賭けだった。拒否されればこのまま俺はフェードアウトするし、OKならばラブホに直行する。

 先輩は、答えた。

「いいよ」

 男とはキスとペッティングまでしかしたことはなかった。中学の頃も男女問わず、相手がOKすればヤってたからね。

 先輩とはフィニッシュまでやった。やり方をネットで調べて、ジェルとかコンドームとかを用意して事に及んだ。

 二人で初めて挑戦するセックスは、楽しかった。

 瑠璃子とは徐々に距離を置きつつも、たまには楽しんだ。

「俺は、瑠璃子だけの俺だよ」

 そう嘘をついてやるだけであいつは喜んだ。

 俺にとっては恋愛イコールセックスなのだ。肉体から得られる快感に勝るものはない。そして相手に性衝動を覚えなくなれば、それが別れる時なのだ。

 高二の夏、期末テスト前、部活動はテスト期間が終了するまで休みである。

 その休みを利用して、俺と先輩はいつものように部室で会っていた。

 先輩の膝の上に乗って事に及んでいた時、部室のドアが開いた。

 瑠璃子だった。

「瑠璃子」

「健、何してるの」

「なんでいるんだよ」

「一緒に帰ろうと思って、探してたの。部室かなって思って、ドア開けたら、開いちゃった」

 俺の中で先輩が急速に縮小する。

 突然、突き飛ばされた。俺は部室の床に顔から倒れ込む。

 振り返ると、先輩は真顔かつ下半身丸出しで突っ立っていた。

 俺も先輩も、ボクサーパンツと制服のズボンが足首まで下がったままだ。

 瑠璃子がスマホをスクールバッグから取り出す。

 何してんだよ、と俺が言おうとした瞬間、瑠璃子は俺たちをカメラに収めた。

「信じらんない」

 吐き捨てて瑠璃子は走り去った。


 俺のスマホは通知音が鳴りっぱなしだ。

 鳴り始めの頃は確認していたが、今はする気力もない。

 文面はわかっている。

 ――おまえ、そういう趣味だったの?

 ――いつから先輩とつきあってたんだよ?

 瑠璃子は俺と先輩のあの写真を、あろうことか写真や動画を投稿できるSNSにアップしやがったんだ。しかもこんなコメントまでつけて。

『浮気者』

 瑠璃子と俺のフォロワーは共通している奴が多い。すぐにクラスのほぼ全員が知るところとなった。

 先輩と瑠璃子から俺に届いた別れのメッセージの文面はまったく同じだった。

『さよなら、裏切り者』

 俺が学校に行けるようになったのは、瑠璃子が投稿してから一か月後だった。

 市村先輩は俺以外の部員にも手を出すようになった。そのせいで問題となり、高野連にも報告が行き、その年の夏の大会への出場を辞退せざるを得なくなった。

 瑠璃子はすぐに同じクラスの別の男とつきあい始めた。

 二人との関係は完全に消滅した。


 聞き終わると日野さんは俺に尋ねた。

「余田さんがなぜ、君に甘い缶コーヒーを渡したのか、わかる?」

「考えたんですけど、わかりませんでした」

「好きな人といると、無糖のコーヒーでさえ甘く感じる時があるんだ。それを伝えたかったのじゃないかな」

 日野さんが澄んだ瞳で俺を見る。

「君はその二人と、そうなれたの」

「いえ」

 即答した。俺にとっては好きなんて、愛なんて、重くて甘くて気持ち悪い代物でしかない。第一、砂糖が入ってれば甘いけど、無糖は無糖でしかないだろ。

「君という人間の一部分は理解できたよ」

「ありがとうございます」

 俺は立ち上がり、脚と上体が作る角度が九十度になるまで頭を下げた。

「俺は、日野さんの敵じゃありませんから。何かあったら相談にも乗れます。男とつきあうのは経験があるんで」

 日野さんは無言で耳を傾けている。

「すみません、その、お二人がお互いをすごく思ってらっしゃるので。特に日野さんは余田さんを思ってること、周りに気づかれないように必死に抑えてる印象を受けるんです。だけどそれって、すごくメンタル削られません? でも周りにばれるとお二人が傷つきますよね。だから、お二人の立場を理解した上で話を聞ける人間がいた方が絶対にいいと思うんです。俺、そういうことで痛い目も見たし、勉強もしたんで。誰にも相談できませんでしたから。俺は頼りになりますよ」

 日野さんが少しだけ笑顔になる。

 その笑顔に俺は意識が飛んだ。

「ありがとう。何かあったら相談するね」

 なんて、尊いんだ。

 俺はもう、日野さんしか見えない。

 だがもう一つ、伝えておきたいことがあるのを思い出した。

「余田さんには俺が話したこと、内緒にしてもらえません?」

 どうして? と眉をひそめる日野さんに俺は言った。

「あの方、日野さんラブじゃないですか。だから俺が日野さんと話してると、すごく気に入らないみたいで。ちょっと俺には暑苦しいかなって」

 日野さんが楽しそうに笑い出した。

「ほんとに君、遠慮を知らないんだね」

 俺は自動的に顔が熱くなる。

 日野さんが笑ったまま俺の目をじっと見た。

「じゃあ俺も、遠慮しないことにするよ」

 俺は嬉しくなってその綺麗な目をガン見する。

「ぜひ、お願いします」


 日野さんがシルバーのバングルをつけてくるようになった。

 ごつくて、輝きは鈍い。日野さんのイメージとはかけ離れている。

 だから俺は社食で昼ごはんを共にしている時、日野さんに指摘した。

「全然似合ってないですよ、それ」

「俺が好きでつけているのだからいいじゃない」

「日野さんにはもっと繊細なデザインの方が似合うと思うけどなぁ。まさか、余田さんとお揃いですか。一緒につけようって約束したとか」

「その想像力、発揮する場所、間違ってるよ」

「言いますねえ」

 要するに、余田もこのバングルをつけてる。確かにあいつにぴったりだ。

「日野さんと余田さんて、ほんとに面白いですよね」

 俺は日野さんをゲットしたいけど、別にキープしておきたいとは思わない。ただ、日野さんとヤりたい。単純にそれだけだ。何度も繰り返すけど、俺にとって恋愛イコールセックスだから。性衝動が起こるか起きないかで相手との関係を続けるか切るかが決まるから。

 日野さんが冷静に言う。

「俺たちは君の娯楽じゃない」

 俺は声を出して笑ってしまう。

 言ったな、「俺たち」って。

 ようやく認めたな、余田とつきあってるって。

「娯楽ですよ。事実は小説より奇なりって言うじゃありませんか。あ、でも、用心しなくちゃね。日野さんには余田さんという、こわーい彼氏がいるのだから」

 日野さんが顔を上げた。

 俺は椅子から転げ落ちそうになる。

 目が怖い。ものすごく怖い。

 怒ってる。完全に怒ってる。

「沢渡くん」

「――はい」

「出よう」

 従うしかない。

 社食から出て、社屋からも出た。建物の陰に行く。

 日野さんは俺に冷たい声を落とした。

「俺がなぜ怒ってるのかわかる?」

「日野さんには余田さんという彼氏がいると、俺が言ったからです」

「正解」

 俺は日野さんを見た。

 日野さんは厳しい表情で俺を見る。

「俺も、余田さんも、自分たちの関係を他人に知らせる必要はないと思ってる」

 これは想定外の展開だぞ。

「俺たちは静かに二人の関係を育んでる。だから心ない他人に干渉されたくない。どうか俺たちを放っておいて」

「……俺もその、心ない他人のうちに入るんですか」

「俺は今、君に対して素直に心を許す気になれない」

「仕方ないです。出会ったばかりだし」

「君は俺に、何を望んでいるの」

 俺は日野さんに一歩近づいた。

「もっと触れあいたい」

「それは、精神的に、ということ?」

「違います」

 一瞬の沈黙の後、日野さんは低く言った。

「去年、愛する人を亡くして弱っている俺に、俺がよく買う無糖の缶コーヒーをくれたのが、余田さんだった」

 あいつ、そんな真似ができたのか。

「それ以来俺たちは一緒にいる。愛する人の奥さんと話をつける時も一緒にいてくれた」

 日野さんて、妻がいる男と相思相愛だったのか。

「ああいう見た目だし、口調も丁寧とは言いづらいけど、余田さんはとても誠実で正直で、優しい人なんだ。俺にとっては大切な人なんだ」

 俺は動けなかった。

 腹の中でとぐろを巻いているこの感覚は何だ。

「だから俺たちをそっとしておいて。俺に関わらないで」

「嫌です」

 俺は日野さんの両腕をつかんだ。

「離して」

「離しません」

「俺は君の望みにこたえることはできない」

「一度だけでいいんです」

 必死だった。

「俺を抱いてください」

 日野さんの目が切れ上がった。

「いい加減にしろよ!」

 腕を振り払う。

 俺は負けずに日野さんに抱きついた。

「離せよ」

「好きです」

 日野さんが息をのむ。

 俺は、すぐに離れた。

 目から生暖かいものが垂れる。

 まさか、二十三年間生きてきて、こんな言葉を口にする瞬間が来るなんて。

「俺は、日野さんが、好きなんです」

「沢渡くん……」

 日野さんは困ってる。

「明日……返事、聞きたいです」

 声が震える。鼻の穴からも生暖かいものが垂れやがる。

「昼休み……駐車場の、あの桜の木、木が植えてあるとこに行きましょ。返事、聞きたいです」

 これ以上、カッコ悪い俺をさらしたくない。

 日野さんを置いて俺は、先に戻った。

 職場ではなんとかこらえたが、帰り道は最悪だった。

 音楽もかけずに泣きながら運転した。

 涙が止まらないので、途中、コンビニエンスストアの駐車場に停まった。

 勝手に流れる涙と鼻水を、俺はどうすることもできなかった。


 次の日の昼休み、日野さんと俺は駐車場の端に等間隔に植えてある桜の木の下に行った。

 駐車場の片隅にあるベンチには、二人、座っている。

 余田と遠藤だ。

 あいつら、どうせ俺たちに気づいてるだろうな。どうせ木の陰に隠れて俺たちの様子をうかがうんだろう。

 来るなら来やがれ。絡んできたら今度こそ俺はぶちギレてやる。メンタルは最悪の状態にあるが、俺はそう決めた。

 桜の木の下で、俺と日野さんは向かい合った。

 日野さんは気の毒そうな顔で俺を見つめる。

 俺は泣きそうになりながら言った。

「返事……聞かせてください」

 日野さんが済まなそうに下を向いた。

「……ごめん」

「だめって、ことですか」

「うん……」

「余田さんと……してるから、ですか」

 日野さんは唇を固く結んだままだ。

 直感した。その沈黙が意味する所はイエスだと。

 またあの生温かいもので顔が濡れる。

 俺の腹の中でとぐろを巻いている何かが急に噴き出した。

「何だよ」

 日野さんが後ずさる。

 もう、なりふりかまっていられない。

 従順な後輩を演じるのは、もう、やめだ。

 俺はズボンのポケットに両手を入れる。

「何もあんたのケツにぶち込もうってわけじゃねえんだよ。俺を一回抱いてくれりゃあそれで話が済むんだよ。何回も言わせんな」

「沢渡くん――」

「お上品ぶるのもそのくらいにしろよ。余田に何回もヤられてんだろ。だから俺でバランスとれっつってんだよ。あんたを男に戻せるのは俺だけしかいないんだから」

 後ろに気配を感じる。

 俺は振り向き、ガンを飛ばした。

「隠れてないで出てこいや。そこにいるんだろ。わかってんだよ。余田、それから遠藤」

 余田と遠藤は素直に木の陰から出てきた。

 日野さんがよろけて木の幹にもたれかかる。

 腹の中と喉の奥が熱い。

 異世界ファンタジー小説かロールプレイングゲームに出てくる火を噴くドラゴンにでもなった気分だ。

 その勢いのまま俺は余田に言った。

「てめえだけの日野さんじゃねえんだよ!」

 脳まで煮えてきやがった。

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