嫉妬
天川裕司
嫉妬
タイトル:嫉妬
「うぐぐ、そんなはずない!!はっ…夢か…」
嫌な夢を見てまた起きた。ここんとこずっとだ。
何か、嫌な女が出てきたようなそんな夢。
でも不思議なことに、
起きるとその夢の内容を全く忘れている。
その女が出てきたような…と言う感覚しか憶えてない。
俺は今、一人暮らし。
未婚だった俺が初めて結婚したが
信じられない悲惨な末路をたどり、
俺はもう独身主義を貫いている。
あんな経験、二度としたくないと思ったからだ。
(回想シーン)
俺と小夜子が付き合い出したのは
ほんの少し前の事だった。
小夜子はそれまで普通に生活してたと思うが、
俺の女性遍歴は皆無に等しく、
俺にとっては初めて愛する人だった。
「あなた、今日はハンバーグで良い?」
「ああ、ありがとう♪お前の作るのはおいしいから何でも嬉しいよ」
俺たちは本当に幸せだった。
でもある日、信じられないことが起きた。
「お、お前は…う、嘘だ…そんな事あるはずが…」
昔に見知った俺だけが知る女が、
部屋の中に突如として現れるようになった。
しかもそいつはしゃべり、普通に歩くことができ、
普通の女と同じように行動している。
もうそれを見て恐怖でしかない。
そいつは俺に普通に接してこようとしたが、
無論、俺は本能的にヤツを避け、
逃げ回るようにして部屋を飛び出した。
おそらくその時だった。
小夜子が本当にこの世から姿を消したのは。
女「どうして逃げるのよぉ?あれだけ愛してくれてたじゃない!」
俺が昔見知ったその女は
そう叫ぶように言って追いかけようとしてきたが、
知ってる分だけ恐怖が先回り、やはり逃げるしかない。
人には言えない恐怖だ。
そしてその少し前から小夜子は
居るはずの時間に家に居なかったり、
トイレに行ってそのまま姿を消し、外から帰ってきたり、
よくわからない現象に遭っていた。
そのとき小夜子はまだ日常の顔をして
その不思議な現象を目の当たりにせず
自分に何が起きているのかも
よくわかってないようだった。
そして家を飛び出した俺は心を決めて
もう1度自宅に帰り、そのとき忘れていた事、
小夜子を連れて逃げる覚悟を決めたのだ。
そのとき家に小夜子が居なかったからそうしただけで、
小夜子の事を忘れて居たわけじゃない。
「小夜子…待ってろよ!頼むから家に居てくれ!」
小夜子を連れ出し、あの呪われた何かの存在から
2人手を取り合って逃げたかった。
でも自宅に戻ると中はシーンとしており、誰も居ない。
あの呪われた存在すら居らず、
俺は1人で家の中を探し回った。
すると出てきたのだ、小夜子が。
小夜子はクローゼットの中に寝かされて居り、
人形になって居た。
それから俺は警察に捕まり、
とりあえずの形で留置場に置かれている。
あの嫌な夢を見始めたのはそれからの事。
とりあえずと言うのは、
まだ容疑が固まってないからだ。
人間が本当に人形になったこの事件。
もちろん前代未聞のことであり、
何がどうなってそうなったのか?
それがわからない以上、
警察にとっても未知の事柄となり、
殺人でも殺人未遂でもなく、
調べから薬を盛られた形跡もなく、
本当に人形になってしまった小夜子のその存在が
警察の捜査を大きく足止めしてしまう
わけのわからない壁になって居たのだ。
だから俺は一応容疑者として取り調べを受け、
容疑が晴れるまでここに置かれる事になった。
晴れる事なんてあるのだろうか?
その未知への不安も確かにありながら、
時間が経つごとに
小夜子を失った悲しみと虚無がやってきて、
その事がだんだん俺を支配し、
もうここから逃れられない
ノイローゼの俺を作り始める。
ただ1つ、感覚的に憶えた事は、
あの呪われた存在ことあの女は、
絶対捕まらない安心の場所を求めて、
俺の夢の中に現れるようになっている…?
と言うこと。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=FPaWvAbG38s
嫉妬 天川裕司 @tenkawayuji
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