第9話 うさぎは焼いて食ったら美味い

私の親は調理師だ。修行時代、子うさぎを何回も解体して料理したという。子供の頃に其れを聞いて、私は親に「可哀そうだ」と言った。

すると親は「食糧だから普通の事だ」と私に教えてくれた。ヨーロッパでは子うさぎを食べるのは普通の事である。そして肝心の味だが、めちゃくちゃ美味しいらしい。

冷静に考えれば親の言う通りだ。豚や牛・魚を普通に食べているのだから、うさぎだけが可哀そうというのはアンフェアである。

私は親に「自分もうさぎが食べたい」と言った。すると親は「うさぎは今無いが、カエルならある」と言ってカエルをから揚げにしたものをくれた。

今でもはっきりと覚えているが、カエルは鶏むね肉の様でとても美味しかったのだ。この時私はもし食糧難でサバイバル生活をするのなら、真っ先にカエルを大量捕獲すると決意した。




某論破王の本の中に、無敵の人にはうさぎを与えれば良いとしょっちゅう書いてある。詳細は省くが、要するに自分が居ないと死んでしまう・愛らしいものを与えろという事だ。デブ不細工禿チビ無職の人であっても、うさぎのつぶらな瞳を見て生きる活力が沸いてくるかもしれない………という趣旨である。

私はこの本を電子書籍で読んだ時、腹が立って液晶画面を拳で殴りそうになった。何故なら私も所謂無敵の人だが、うさぎを貰っても1ミリもそんな気持ちにはならないからである。

うさぎなど要らないから、1億くれたほうがよっぽど生きる活力が沸いてくるだろう。終活もバカらしくなってやめるに決まっている。無敵の人で無差別殺人を考えている人も、1億貰ったらアホくさくて計画を破棄するだろう。

自分が同じ立場なのではっきり言うが、動物愛護の法律が無かったら速攻で窓からうさぎを投げ捨てる。自分の事で毎日精一杯なのだから、金のかかるうさぎなど死んでも欲しくはないのである。

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