第6話 孤独死確定なのに、予防サービスの審査に落ちた

前も書いたがうちは賃貸だ。友達も恋人もいないので、孤独死は100%確定である。なので、私は孤独死に備えてその筋のサービスに申し込んだ。

だが結果を言うと、サービスに加入する事を断られた。その1番の理由は、緊急連絡先が無い事だった。私は家族全員の連絡先を知らない。住所だけならわかるが、携帯の電話番号が無いとダメだと言われた。

孤独死予防サービスに加入する為、疎遠の家族に電話番号を聞かねばならない。そんな事は無理に決まっているので、カスタマーセンターに別の方法を訪ねた。

すると「お勤めの会社の上司・恋人・親友の方の電話番号はどうですか」と言われた。そんなものは勿論無い。会社の上司は全員口を聞いた事が無いし、恋人も親友も居ない。兎に角私には、死体を発見してくれる人が誰も居ないのだ。



一応カスタマーサービスの人に聞いてみたが、やはり伴侶・兄弟・子供・孫に緊急連絡先になってもらう人が多数だそうだ。血の繋がっていない他人で申し込む人は、かなり少ないっぽかった。

つまり本当に孤独死が確定している人間には、絶対に加入できないサービスである事が判明した。何処とは言わないが敢えて言おう、カスであると。

私の様な人間が加入してこそ意味を持つというのに、断るとは本末転倒もいいところであろう。お前みたいな会社は潰れちまえと思いながら、私は「そうですか」とだけ言って電話を切った。



ちなみに此の問題はもう解決すると言われている。此れは数年前の話であり、今はAI搭載型の監視サービスが既に始まっている。こういう問題こそもっとハイテク化して、人を介さずに解決していくべきだと心底思う。

緊急連絡先など必要ない。死んだと検知したらすぐ回収し、直葬して遺体を片付ければ良いだけだ。遺族にはその途中の何処かで知らせれば良い。

私が問い合わせたところは、ぶっちゃけクソ古い体制が丸わかりの会社だった。こんなところはさっさと潰れて、最新技術を駆使するベンチャー企業が増えてほしいものである。

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