第2話 断捨離ババアの本を読んで捨てまくる

終活で次にやる事と言えば、断捨離と相場は決まっている。孤独死する人間は、せめて荷物ぐらい片付けとけと罵倒される世の中だ。

私は指南書を一冊本屋で買うことにした。如何にもグイグイ捨てそうなおばさんが表紙の、主婦向けらしき本を選んでみた。

正直に言えば、私は普段からモノをガンガン捨てている。一時期ミニマリストだった為、捨てるは完全に習慣と化している。なので別に買わなくても良かったのだが、一応作法として専門書を読んでから捨てる事にした。

著者のババアの言い方はいちいち回りくどい。「思い出なんて取っておく必要ありますか!?写真に撮ってから捨てればいいんです!!!」

1ミリも共感出来ない。私は思い出に執着しない性格なので、要らないと思ったら高価なものでもポイとゴミ箱に放り込む。

フリマアプリなどには絶対に出さない。クレーマーとやり取りするのがめんどくさいからである。



世の中の捨てられないもの第一位は洋服だそうだ。信じられない、着ないものやサイズの合わないもの・流行りが済んだものを全部捨てれば良い。私的には1番捨てやすいと言っても過言ではない。

現時点でクローゼットはスカスカだが、それでも一応ババアの本を読んだので着る頻度の少ない服をポイポイ捨てていく。ついでにバッグも角が擦れていたり、金具に傷があるものはゴミ袋に放り込む。

だが元々ものが少ないので、1時間やってやっと45リットルの袋の1/3がたまったぐらいだ。とりあえずこれはもういいので、口を結んで玄関に向けて放り投げる。

明日はゴミの日なので、夜のうちに全部出しておけばそれでよい。



明日絶対死ぬとわかっていたら、極限までものをゴミとして捨てる事が出来るだろう。だが私達は、生まれた日は分かっていても死ぬ日はいつなのかわからない。ハサミや爪切りを捨ててしまったら、明日困る事は誰でもわかる。

色々考えた結果、半年たっても使わなかったら捨てるボックスを作った。作ったと言っても、通販サイトから届いた段ボールを再利用しただけだが。

その中に不用品をポイポイと入れていき、あらかた入れ終わったところで簡単に蓋を閉じる。そして側面に今日の日付を書き、物置に閉まっておく。

半年間これを一度も明けなかったら、中身をそのままゴミ袋に入れてさようならすればよい。世界で1番簡単な片付け方法であろう。

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