第13話 いったん落ち着けよ

 またまた次の日、昨日は家に帰ってこられた安心感で部屋に入ったら真っ先にベットに向かった。

 しっかりと昼寝を決め込んだ私は午前11時から夜の8時くらいまでずっと寝ていた。




 ────────なにか筒状の中で息苦しくもがいている私を覗いている少女がいた。美しく手入れされた髪に、華奢な体、大人びた顔立ちはいっそ作り物めいていた。怖かった。ただ怖かった。













 あれから数日後、起きると普段はルイちゃんくらいからしか連絡が来ないスマホに天廻さんから連絡が来ていた。実はあの日から一回も連絡を取り合ってなかったので少し驚いた。


(えーと、なになに「紫水ちゃん久しぶり!」「今度さ予定が合うとき遊ばない!?」「まぁー約束通りルイのことも呼ぶんだけどさ、どう?」ふむふむ)


 あ、これ無理なやつだ。遊ぶってなると私のことを伝えたうえじゃないとだし。それにそういうことはあまり言いたくない。


(「了解しました」「すごく楽しそうですね」「ですが具体的にいつになるかわかりませんので開いている日があったらこちらから連絡します」)


 私は臆病だった。とてつもなく臆病だった。断る勇気がなかった。









 今日もいつも通り日課になっている筋トレをして、リモートで授業を受けていた。


 そして最近では自分の部屋から出る回数を増やしてみた。当たり前に両親との会話はないが、少しづつ生活に自分の痕跡を残していっている。




 思い出すのは数日前の病室のベット。

 何も言わず、いや何も言えずただ私を抱きしめる細い腕、客観視整った小綺麗な顔立ち、高くはない程度の身長。

 私も何も言えなかった。


 これがダメとかそういう気持ちはなく、だけれどなぜかすごく気持ち悪かった。


 いや、やっぱり駄目なのかもしれない。この場面を作り出した、張本人である無能紫水はやっぱりいないほうがいいのだろう。


 でも、「すいちゃんっ!」と呼ばれた時が、凛々しく寂しそうに私を怒こった時が、忘れられない。





 でも結局、私はわからない。なにも。無知で無能で阿呆でもやしでブスな私にはわからない。



──────────────────────────────────────


ワカラナイ。オレニモワカラナイ。

なにこれ?


次はがっつりルイちゃん視点。ルイちゃんと紫水の過去行ってみよう!


あ、たぶんあと2話くらいでいったん区切ります。



では、また。

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