第2話 天才美少女?天使?女神?or 暴言厨?
「もう、そんな顔しててはだめよ。わたくしの紫水はブスなんだから、さらに不細工になってしわうわ。ふふ、本当に仕方のない子ね。」
幼馴染のルイちゃんはそうやって私のことを気遣ってくれる。
なぜかいつも以上に優しい気がする。
「あ、ありがとう。へへっ//」
ルイちゃんが我が家に来た理由は、私のメンタルケアが目的である。
「それじゃあ、早速だけど紫水の部屋に行こうね」
「う、うん」
今日は前にルイちゃんに出されていた宿題の締め切り日だった。
「は、はい。ルイちゃんどうぞ。前に出されていた宿題ちゃんとやったよ!」
「そう、偉いわね・・・」
褒められちゃった。
いつもはだめだしされるけれど今日は
「・・・けれど全部間違ってるわよ」
周囲の温度が少し下がったかのような錯覚がした。
「え、でも、」
「でも、なに?わたくしの言ってることが間違ってると思うの?」
「う、ううん。間違ってないよね。だってルイちゃんは正しいもん。」
そうだ、ルイちゃんは正しいんだ。
間違ってるわけないんだもん。
じゃあ先生のほうが間違ってるんだ。
やっぱりルイちゃんはすごいな。学校の先生より頭がいいんだ。
「今日も間違えてしまったのね。じゃあお仕置きをしないとだわ。」
お仕置き。それは私の精神をひどく削るとても悍ましいもの。
「今日は何にしようかしら?・・・あ、そうだわこれなんてどうかしら」
ルイちゃんは真顔で私に抱き着いてきた。
「だ、だめだよ。それは。き、汚いよ、私。」
「はぁ、はぁ、//・・・あーあ。紫水が間違えてしまったからわたくしは紫水の汚い体で汚れてしまったわ。」
その舜間私はとてつもない罪悪感と幸福感に包まれた。
あのきれいなルイちゃんが私みたいなゴミの塊に抱き着いちゃった。
これがお仕置き。この美少女を私が汚してしまった。
「わ、わたし。ご、ごめんなさい。こんなつもりじゃ、今日こそはルイちゃんを汚さないで済むかなって」
「うわー。あの不細工で無能な紫水に抱き着かれてしまったわ。はぁ、はぁ、//そ、それに紫水の涙でさらに汚れちゃったし。」
辛すぎて涙が出てきちゃった。
いや、ルイちゃんのほうが辛いはずだ。なのに私のために我慢してるんだ。
「ごめんなさい」
「大丈夫よ、次の宿題は正解すればいいだけじゃない」
そういって頭をなでてくれる。
励ましてくれるけど、今までその言葉を毎回家に来るたびに言われてきた。
「じゃあ、今日のお仕置きはここまでね」
「あ、」
よかった今日はいつもより早く終わった。(ルイちゃんの手が離れちゃった。)
「も、もう帰っちゃうの?」
「そうね、今日はほかに用事ができてしまったの」
やっぱり忙しいのに私のためにわざわざ時間を作ってきてくれてるんだ。
正しくて優しくて天才なルイちゃんは本当はこんな底辺以下の存在にかまってちゃいけない。
そんなことはわかっていても、もう少し一緒に居たかった。
「ふふ、そんな悲しそうな顔をしてはだめよ、ただでさえブスなのだから、表情が崩れるととても見てられないわ。」
「ご、ごめんなさいっ!!」
またやってしまった。
前も優しく注意してくれたのに同じ間違いをするなんて。
「じゃあ、また来るわね。宿題頑張ってね。」
「うん!」
「あぁ、それと紫水。分かってると思うけれどわたくしがブスって言ってるのは二人だけの秘密よ。」
「うん!!!!!」
そうこれは二人だけの秘密なのだ。
決してほかの人には言ってはいけない。
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ちなみに紫水の両親や医者は紫水が解離性の認識障がいになった原因はなぜか紫水自身が自分のことを「ブス」だと激しく思い込んでいる、と思っています。
逆にルイのことはこういう風になってしまった娘に優しくしてくれている天使に見えています。好感度爆高。
では、また。
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