第6話 めざせモンスターマスター!

「いつも疑問だけど……スララもコンも、どうなってるの?」


 『封魔石』に封じられたコンを見てノノさんが尋ねてくる。


「さぁ……良くわからんが、案外快適らしいぞ」


 俺の能力その3、『安息』。

 『封魔』されているときに、魔物が快適に過ごせるようになるぞ!

 オマケで体力なども徐々に回復していくぞ!

 ちなみに、オンオフは選べるぞ!


 さらにちなみに、『封魔石』の機能は単に魔物を納めるだけでなく、本当の封印のように時を止めた状態にすることもできる。

 基本的には封印まではしないけど。


「俺の魔力を変換して腹も満たされるらしいし」


 仕組みはわからんけど、俺の栄養というか魔力をそのまま分け与えてるイメージ。

 あれ、俺ママになっちゃった?


「……それ、私もいける?」

「……」


 どっちの意味だろうか。

 封印される方か、する方か。


「動かなくても、お腹いっぱい」


 前者でした。


「……無理だろ」


 魔力量的にも、精神的にも。

 やだこの聖女様、ものぐさが過ぎるんですけど。こいつのママにだけはなりたくない。


「……次行くぞ、次」

「……ん」


 端的に返事をするノノ。


 昔っからこうなんだよなぁー。

 何するにも引っ付いてきて、いっつもボソボソ喋るしよくボーっとしてるし。


 しまいには異世界にまで一緒に転移しちまった。

 きっとこいつとはこの先も――。


「疲れた。おんぶ」

「マジかよ」


 無理、こいつと一生は一緒にいれないわ。


「次は乗り物的な魔物がいいな」

「そう」


 ええ、俺の代わりに荷物を乗せてくれるような魔物がいいです。


 ◇


 聖女を背負い、どんどん進む。


 ゴブリンが現れた!


 聖女の攻撃!

 ゴブリンは爆散した!


 ……。



 

 再びゴブリンが現れた!


 聖女の攻撃!

 ゴブリンは爆散した!


 ……。



 

 再びゴブリンが……。


「ゴブリン多くね?」

「そうね」


 爆散するゴブリンを眺めながらため息を吐く。


「1匹いたら30匹いると思え的な奴だし」

「人類の敵ってところも同じだな!」


 黒い閃光と緑の悪鬼。

 いやねぇ、ほんと。


 もっとこう、利用価値のある存在はおりませんかね。




「今日はもう引き上げるか?」

「ん……あ、あれ」


 聖女が指さす方向にいたのは、綺麗な羽でひらひら飛んでいる蝶々。

 パラリジパピヨンだ。


「おぉ、なかなか綺麗な蝶じゃないか。これは捕まえたいな!」

「がんばっ」


 『がんば』とはまた古い。

 ていうかノノさんは……だめか、どうやっても殺しちゃいそうだし。


「んー、俺も近づきたくはないしな……あ、そうだ」


 このための従魔じゃないか! よし、君にキメた!


「出て来いスララ! あいつを殺さない程度に弱らせろ!」

「ぴっぎー!」


 ほんのり高貴な匂いがするスララを召喚!

 スララはあっという間にパラリジパピヨンを飲み込んだ。


「お、いい感じ!」


 俺の『封魔石』でのテイムは本人の同意があれば問題なくできるのだが、意思に反してテイムする場合、ある程度弱らせる必要がある。

 これが案外めんどくさく、手加減できる程度の魔物しかテイムできない、つまり強さ的にあまり必要ない魔物しかテイムできない、なんてことになりかねない。


 俺はユートたち仲間に恵まれたけど……そうでなければ早々に死んでたかもしれん。




「スララが吸われてる気がする……」

「……耐えろ!」


 俺には応援することしかできない!


「……あ、蝶々がピクピクしてる」

「そろそろいいか? スララ、吐き出せ!」

「ぴぃぴぃ! ぺっ!」


 スララがパピヨンを吐き出す。『ぺっ』て。街のチンピラか?


「『封魔石』! パラリジパピヨンを捕獲!」


 『封魔石』が光り、パピヨンにその光りを伸ばす。

 そしてパピヨンの体が石に吸い込まれていった。


「よっしゃー! パラリジパピヨン、ゲットだぜぇっ!」

「おめ」


 あり。

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