第15話 よく育つようにの魔法とお水コポコポ


「成長促進とはどういう魔法なのでしょうか?」

フィンデルさんがめちゃくちゃ食いついてきました。


「植物には光と程よい量の良いお水、あと作物にはさらに風通しの良さと土の栄養とかいろいろあります。

それをみんな合わせて良く育つようにってまほうかけるとなんか成長が早まるんです。」


「よくそだつように‥」


「白虎さんがその魔法には時が進む魔法も入ってるって言ってましたけど自分ではよくわかりません。

お水あげただけとか土掘り返したりしただけでも同じようになりました。」


「時が進む」


「進むじゃないのもあります!服に引っ掛けたキズがクリーンで元に戻った時は巻き戻ってるって言われて。」


「巻き戻る」


その辺は俺もよく加減がわからないので許して欲しい。

「よくわからないので実験中です!お水も美味しいお水って出した時と綺麗なお水って出した時の味が違くてふしぎです。」



「たとえば、マサト様が水を与えたどれも植物は早く育つのでしょうか?」


「そうです。魔力の多い草…ちょーめいそうもモリモリ育ったので!

白虎さんが魔法に魔力が多く入ってるからだねっていってました!

普通の野菜も魔力で育ちが早いのかよくわからないので実験したらおしえますね。」


「マサト様がいう美味しい水と綺麗な水の鑑定をしたいのですがご協力お願いしていいでしょうか?生活ギルドからの正式な依頼として報酬も出します!」

フィンデルさんが乗り出す。


「ただのお水なので報酬いらないです。

飲みますか?そこのコップにだしますか?」


「今、新しいグラスを用意させましょう。

ギルドに持ち帰る用の瓶も。」

ハンクスさんが執事さんに指示してくれます。


「マサト様、屋敷で豊作になった物は屋敷や領民へ配っても大丈夫でしょうか?」


「僕のじゃないし、りょうしょーいらないですよ。」


「いえ。これほどの豊作は数年ぶりですしマサト様のお力あってのことなので」


「良いことならいいんです。

でもいっぱい取れたの市場に出回ると農家さんの作ったものの値がさがってしまうのでは!?」


「それに関しては大丈夫です。

土地が痩せた分収穫量は落ちてますが生活ギルドのほうで農家の収入は安定するように調整しております。」


さすがギルド長。ちゃんとしてた。


「土地が痩せて収獲量が下がった‥

あの!そういう土地で実験させてもらえないですか?よく育つようにってどのくらいなのかの加減をしりたくて。」



「そうですね。

では街から離れた牧草地のようなところでどうでしょうか?

魔の森近くの砦の南側に牧草地があります。

急に茂っても目立ちませんし、砦に騎士たちも常駐してますので魔獣への脅威もありません。」


「ありがとうございます!

魔獣来ても大丈夫です。ぼくエイエイってできるので!」


「ははは。そうでしたね。

グラスと瓶が揃いましたのでお水お願いしてもよろしいでしょうか。」


「はい!じゃあ美味しいお水いきまーす」

目の前に置かれたグラスにコポコポ出します。

執事さん達が皆さんにグラスを配ってくれる間に瓶もナミナミ満たしておきましょうね。

瓶はキュムっと蓋がされてフィンデルさんの横に置かれました。


みんな眺めてて飲まない。

あれ?カンパイです?それとも…

「はっ!毒見必要ですか?僕最初に飲みますか?」


「いえ。水がグラスの中から湧き出したように見えたので驚いたのです。

いただきます。」


飲んでくれた。よかった。

お水は白虎さんのところにあった池?にお水が湧き出ててそのイメージで出してるから蛇口方式ではないのだ。

池によく投げ込まれたからな〜って思い出が蘇った。



「「美味しい」」

「うまい」



「おいしいお水なので!」

カルキ臭くない、それでいてスッキリ体に染み渡るようなお水です。

軟水イメージ。

昔ペットボトルの水出た時なんて誰が水を金出して買うんだよって思ってたけどそうのうち買うようになったよね。

ホットに白湯見つけた時も驚いたけど、全然アリだったもんな。



「次、綺麗なお水にしますね!」

違うグラスと瓶にコポコポ出します。

綺麗なお水は白虎さんのところの池のイメージです。清浄な空気に囲まれた水。

雑味なく飲んでも美味しいけどなんだろうなんか違うんだよな。



「輝いている?」

それはグラスが綺麗だからでは?

ハンクスさんが眺めて色んな角度からみてソムリエかなって思った。


「これは!?ゴホッ」

フィンデルさんが咽せている。変な味はしないはずですよ?

自分でも飲んでみる。うん。普通の綺麗な水。


「お口にあいませんか?」

フィンデルさんに合わなかったかな。


「いえ。ゴホッ。

あの。こ、これは聖水なのでは?」


「聖水?」


ゴッホッッゴッ!

カイゼルさんも咽始めましたよ。


「主に神殿でしか販売はしておりませんが、聖水は聖魔力の入った純粋な水といいますか。

教会でのお祈りや高級な薬の調合に使われるものです。

聖女様も聖水をお作りになれると聞いていますが普通高価なので飲んだことがある者は限られてますが私は薬師で使うこともあるので飲んでみたことがあります。

この輝きと喉を通り抜けるうっすらとした魔力が似ているとおもいます。」


「「聖水」」

ハンクスさんとカイゼルさんは驚いてるので飲んだことないらしい。


「飲んでも大丈夫なものでよかったです!」

にこ。身体に悪くはないでしょう!



「よかったではなくですね!

聖水は通常、神官が長い期間祈りを捧げた聖魔石を水に入れておき浄化したもので

ですね。


こ、こ、ここんなにグラスに湧き出していいものでは!!

あれ?ということは惜しげもなく調薬できる?あれ?いいの?」


「フィンデルが混乱しているようだ。

マサト様、この水が聖水と鑑定されたら冒険者ギルドにも卸していただきたい!

報酬は神殿と同額を用意します。

物資の滞りがあって聖水も不足している。対魔物においての使用道具に必要です。」

カイゼルさんも要りますか。


「お水出すだけなのでお金要らないですけど」

コポコポ出るもんね。



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