第9話 草はただの草ではなかった。



無事に魔力を込めて魔道具の登録ができました。

とは言っても最初は加減がわからなくて魔道具に魔力を込めてくださいって言われて

握って魔力えいってしたら魔道具が弾けて木っ端微塵でした。


針やハサミを用意して持ってきてくれたイグニスさんがとんぼ返りでまた魔道具を用意しにいった。そして複数個持ってきてくれました。申し訳ない。

そんなに壊さないようにします。

執事さんがフィンデルさんにオレがクリーン使ったせいで辺境伯邸が光った話とかしてた。

その節はお騒がせしました。


ということもあり、指一本で魔力絞ってチョンと触れてみるところから始めては?となりましてそれで登録できました。

執事さんにネックレスを首にかけてもらいちょうど良い長さに調節してくれました。




せっかく魔道具用の針も持ってきてもらったのでやってみたいと希望して自分でプッツリ針刺そうとしましたが針が曲がりました。


前髪切ってみよう!って執事さんにも協力してもらってチャレンジしてる今です。

肩まである前髪を耳くらいにしてみます。姫カットかな。

普通のハサミでチャレンジしましたが刃が欠けましてみんなの空いた口が塞がりません。


「ダメでしたか」

オレとしてはやっぱりねという感じ。


「ほ、ほんとに切れないんですね」

イグニスさんの口が動いた。

イグニスさんには俺が異世界から来た「使徒」的な存在というのは説明してあります。

ギルドの上の方の人は知ってた方が色々フォローできるだろうってことらしい。


「しなやかで艶やかな美しい髪なので切るのも勿体ないとは思いましたが一本も切れないとは思いませんでしたな。」

それから色々なハサミを試したけどダメでした。


「うーん。他の使徒の人達も髪切れないのでしょうか?

背が伸びるのが先か髪が地面につくのが先か。」


「今まで使徒様が髪が抜けない切れないというお話は聞いたことがありませんね。」

と執事さん。

「確か、聖女様は怪我をご自分でヒールかけて治したというお話を聞いたことがあります。

警護の者もポーションなどの薬は常時携帯していると聞いてます。この領地にいらっしゃった時にはこちらのギルドで手配もしましたし」

とフィンデルさん。


「ボクのたいしつ?困らないけどこまるような。」


「もっと硬い丈夫な刃に魔法で硬質化強化をかけてみたもので試した方が良いかもしれませんな。」


「きょうのところはあきらめます。

色々用意してもらってありがとうございました。」


「い、いえ。お役に立ちませんで申し訳ございません。」


イグニスさん色々取りにいってくれたのにすみません。

シュンとしてしまう。



「では魔道具の方に送金を致しましょう!イグニス、鑑定結果をお願いします。」

フィンデルさんが切り替えてくれる。


「はい。こちらポピュアの実、長命草共に最高品質です。

ポピュアの実は皮も果肉も種まで全て薬師ギルドで重宝されるものですが発見は難しくこのように完熟された状態で納品されることが珍しいです。

長命草ですがこちら上級ポーションなどに使用するものでただいま在庫が枯渇しつつありましたので大変ありがたいです。」


「この草ってポーションになるんですか?」


「くさ…そうですね。長命草と言いまして上級の薬に使われることが多いです。

魔力の多い場所で獲れると言われておりますが

フィンデルギルド長が【魔術による薬草栽培の研究】を発表されてからは栽培されてもおりますが近年の瘴気による影響により収穫量もそれほど多くなく‥」


「ちょーめいそう。ふむふむ。ただの草ではないやつ」


「マサト様はこの長命草をどこで発見されたのでしょう?ギルドで取りに行くことは可能でしょうか?冒険者に依頼も出せますし。」


「あ、これは白虎さんのところに居た時に池の周りにいっぱい生えてました。

ボーボーでした。

白虎さんになにか野菜食べたいっていったら『その草食べられるよ』って言ってたのでふつうにまいにち食べてました。」


「白虎‥いっぱい生えて‥草…」

イグニスさんが遠い目をしてる!


「まだ!まだ持ってます!

魔道具とかハサミとか壊しちゃったので!!そのぶん草払いにさせてください!」


「「「…草払い」」」



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