第6話 魔獣さんをポイポイ

獲れたてほやほやで血抜きなどもしてないって言ったらとりあえず見せてもらいたいってことでこのお屋敷裏手の厨房で使うという下処理部屋という小屋のような場所に連れてきてもらった。

料理長と他の料理人数人も一緒に。なぜか男女いるけどみんなムキムキ。

料理ってチカラいるもんね。


とりあえず2体ということでベタなところの豚と熊の魔獣を出す。


大きな解体台が置かれ、様々な刃物、水を流して排水できるようになってるような床。

ハンクスさんの腕に抱かれたまま台を指差して

「ここにぽいぽいしていいですか?」と聞けばみんな頷く。


空間からポイポイ。

重いはずなのにポイポイできる不思議。


みんなが口をあんぐり開けている。


「??

これ食べられないですか?

白虎さんは食べてたので人にもたべられるとおもってました。」


口をぱくぱくしてからやと答えてくれるハンクスさん。

「た、食べられますね。」

と言いながら豚に触れるハンクスさん。


「温かい?

料理長、血抜きと解体を任せる。」


「はっ」

勢いよく返事をする料理長を横目で見ながら小屋をでる。



「マサト様。食材をありがとうございます。」

「はい。食べられそうでよかったです。」


オレニコニコである。

やった!部屋代払えそう。


ハンクスさんはちょっと苦々しい顔をしながら口を開く

「大変心苦しいお願いなのですがまだあるようでしたらマサト様がお持ちの他の魔獣を冒険者ギルドに卸してもらってもいいでしょうか?

この領地は疲弊しておりまして家畜も減り、食糧の供給が減っております。

私の不徳の致すところです。

魔獣の解体や加工で領民に仕事ができますし食料として出せます。

このご恩は私がノールザルク辺境伯として必ずお返しいたしますし、誓約書も入れますのでどうか‥」


「いいですよ」

ハンクスさんに目を合わせてしっかりお返事だ。

「魔獣はボクのたいざいひなのでもう辺境伯様のものです!

いつでも出します!」


ハンクスさんは眉を下げながらも

「ありがとうございます」と言った。




というわけでこれから冒険者ギルドに出発です。

先触れも出してあり、オレはハンクスさんの膝の上で馬車から外の様子を眺めています。

屋敷は小高い丘の上で街にいくのに馬車は緩やかな下り坂を行く。


「このあたりの緑も減ってしまいました。

瘴気のあった沼はあのあたりの奥ですが水や大気にも影響があり聖女様に浄化していただいた後もまだ緑が戻っておりません。」


聖女さまと呼ばれる使徒のこと、瘴気と呼ばれるものの影響。

魔の森からの魔獣に対処する辺境の地の状況や街の向こうに広がる農地のことを話してもらった。

魔獣に対処する辺境騎士団はハンクスさんが率いている。

そりゃムキムキだね。

魔獣と瘴気の影響で領地にいて何かあるといけないっていうことで奥さんと子供は今王都で避難生活らしい。

一緒にメイドさんなどで戦えない人や避難を希望した領地の人も王都近辺に向かったそうだ。

もうそろそろ戻る予定なのでよろしくお願いしますと頼まれた。

それはこっちのセリフだ。

知らない間に居候が居たんじゃ奥さんと子供もびっくりだよね。申し訳ない。



そんなこんなで冒険者ギルドに到着。

裏から入るらしい。

ケープを着せられてフードもかぶってるけど一応使徒様って騒ぎにならないようにらしい。



階段登って3階の大きな部屋に。

すでに扉前に執事さん居た。いつのまに居るの?忍者かな。


ハンクスさんに抱っこされたまま部屋に入れば厳ついめの腕に大きなキズのある白髪の大男と綺麗な緑の髪を片方に編み下げている華奢な女性が立ち上がり頭を下げる。


「マサトさま。

こちらがここの冒険者ギルド長カイゼル。

こちらが隣の生活ギルド長フィンデルです。」


「ボクは忽那正人です。マサトって呼んでください。よろしくおねがいしまふ」

肝心な挨拶で噛んだって思いながらペコリとするとフードがズレる。

お風呂上がってから髪を後ろで束ねてもらっていたが一房サラリと出てきていた。

耳にかけようとしたらズレたフードが完全に取れた。


ギルド長二人が目を見張る。


「使徒様!」


ココでもそのくだりあります?

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