第7話

文化祭と言えば教室やグラウンドなどでの展示や模擬店などの他にも、体育館などで行われる有志でのバンドや歌などの発表がある。文化祭というイベントの中で行われるものとしては最も人が集まり盛り上がる項目なのである。


「今の時間、体育館でなにやってるっけ?」

「歌うまコンテストだね。」


歌うまコンテスト…まあその名前の通り、事前に応募した人が、舞台に経って歌い、観客が後で投票し、だれが一番注目されたかを競う…そんなイベントだ。


「聞きに行こ〜」


そう言って碧は僕の手を取って早く行こうと引っ張っている、可愛い。


「やっぱり一大イベントということだけあって混んでるなー」

「思ったより人多いね〜」

「あ、でもあの端の方人が少なくて見やすそうじゃない?」


そうしてあまり人のいないところを確保し、ゆっくり鑑賞することにした。色んな人が歌を披露していく中、その中に恋愛ソングを歌う人がいた。それを聞いていると、僕たちの関係はこれからどうなっていくのだろうかと、ちょっとそわそわした。


「ねぇ、なに考えてるの?」


そう言って碧は手を握ってきた。この雰囲気も相まってちょっとドキドキする。


「いや、これからどうなっていくのかなって思ってさ。」

「進路とかもあるからね〜、来年はきっと忙しいんなろうな、だから来年はこんなゆっくり楽しめないかも。」


思う存分羽を伸ばせる文化祭も今年で最後なのかもしれない、そう思うとこの今のひとときをゆっくり噛み締めて行こうと思った。


「ふー、面白かったー!」

「次は軽音部の発表…つまりバンドか、どうする?、見てく?」

「一旦楽しめたし戻ろうかなお店に、人足りてないみたいだし。」

「分かった。」


一緒に回れる時間がどうやら終わってしまったらしい、寂しくはあるけどこればっかりは仕方ない。


「じゃ、文化祭終わったら一緒に帰ろ〜」

「待っとくね。」


文化祭はやはり楽しいイベントだ、友達と一緒に回って、お店でご飯買って一緒に食べて、そうしてこの機会に告白をする男子も居るのだとか。

自分にはまだ…勇気はないかな、ただ、いつかこの想いを伝える時まで、ずっと一緒にいようと心から思った。

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