第2話

 1877年10月10日、私は今日自分が配属された小隊と合流しました。



 入隊した翌日、私たち新兵は訓練場の講堂に集められ、それぞれの配属先を伝えられたのです。


「私は…えむしーえふ?大隊麾下のツーロン小隊、ですか……。MCF(モダンコンバットフォース)って何の略なんでしょうか?まくどなるど……」



 その後私は上官に告げられた場所で待機していました。10分ほどたった時、1人の兵士がやってきて私に声をかけてきました。


「おう、君が新しい小隊メンバーかな?オレはサージ特等歩兵。気軽に先輩と呼んでくれ!何なら『おにいちゃん』でもいいぞ!」


 は?なんなんですかこの方。

 こんなのが私の上司になるんですか?ロリコンですよ?信じられません。……きっも


「はぁ…。自分、タウラ下等歩兵です。よろしくお願いします、サージさん」

「おぉぉ!!!その、まるでゴミを見るかのような冷たい視線!いい!いいぞ!もっとくれ!」

「は?キモ。……ハッ!?し、失礼致しましたサージ特等歩兵殿!」


 しまったあぁーーーー!!!!上官に対して悪口を!!!……わたし、入隊して早々に反逆罪とかで銃殺刑ですかね。ハハッ……

 ……あれ?怒鳴られ、ない?うわっ、すごくニヤニヤしてます。本当にキモチワルイです。


「ゴホンッ!ごめんごめんタウラちゃん。ちょっと本心が隠しきれなかっただけなんだ、気にしないでくれ」


 えぇ、あれ本心だったんですか……。


「まぁ、僕のことはどう思ってもらっても構わないけど……、戦場では命令に従わない奴に構ってる暇はないからね。そのつもりでよろしく頼むよ」

「は、はい!もちろんです」


 こうして私は、変態だけど軍人としてはしっかりとしたサージ先輩に連れられて小隊と合流するために、生まれて初めて故郷から離れることになりました。



「さぁ、着いたぞ。ここが僕たちの愛の巣だ」

「流石に限度と言うものがあるはずですよ、サージ先輩。そう言う発言は控えてください」

「お、おぅ。すまんすまん……睨まれるの最高だわ…」


 とんでもないセクハラ発言に次いで変態発言まで。この人に救いはないのですね、分かります。



 先輩に、ここで待っていて。と言われたのでテントのベンチに腰掛けていると、程なくして先輩が戻ってきました。

 肩には見慣れない杖のようなものを担いでいますね。あれは何でしょうか?


「ハイ、これがタウラちゃんの武器だね。家族のように大事にするんだぞ。……戦場で信用できるのはこの銃だけだから」

「は、はぁ…?」

「はっはっは!ちょっと難しかったかな?……まぁいつかわかることだから、別に今は分からなくてもいいさ」


 この時の私には、サージ先輩の言うことがよく分かりませんでした。

 しかしこの5時間後、その言葉の意味の一端を知ることになるのです。




 ところでこの世界での遠距離武器は弓か魔法が主体だそうで、銃は試験運用という段階の発展途上の武器でした。

 今回私に与えられたものも開発途中の試作品だそうで…ぼるとあくしょんしき?ライフルって言うそうです。正直よく分かりませんが、物理的なダメージを与える魔法の杖のようなものなのでしょう。

 サージ先輩の武器は銃口が2つあって同時に撃てるそうです。しょっとがん?とか言うそうですよ。


 とまぁこのように、MCF大隊っていうのは新開発の兵器を試験運用するための部隊だそうです。




「マドリーシヤ大攻勢」まで残り五ヶ月と12日

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