モノローグ(柳)
◯
桜井は、気付いた。……正直、気付かないと思っていた。桜井とは、一体何者なんだろう? 自分の、この今回の、最大の疑問に匹敵するほどに、そう思う。そもそも、自分は桜井に何を本当に聞きたかったのか、それすら分からない。自分がようやく辿り着いた答え……それが一体何を意味するのか、一切分からないのだから。
分かっていたのは、その結論……「答え」は、決してまだ完全ではない事。答えの「訳」じゃなく、「意味」そのものを知りたいのだ……でなければ結局もやもやした気分のまま、はっきりしないじゃないか。
今、はっきりしているのは、まだはっきりしていない、という事実。自分は、いつもはっきりした「答え(訳)」を求めていた、でもその答えこそが、はっきりしていない「何か(意味)」なのだ……?
やはり、これが、自分の性なのか……と、その時。
柳……と、桜井の声が掛かる。
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