第3話 「最高の肥料」お題・トマト

 私は今日も、庭のトマトを収穫しゅうかくする。

 

 ──うん。今日も、いい出来。


 私はちゅっと、ったばかりのトマトにキスした。

 そうしていると、庭越しに隣の奥さんが声を掛けて来た。


「おはよう。お宅のトマトはいつもいい出来ねえ。ウチなんか、小さくて割れたのしか出来なくて……」


 出来がいいのは当然だ。

 だって、最高の肥料ひりょうを使っているんだもの。

 そんなことを考えていると、隣の奥さんが聞いてきた。


「そういえばご主人、しばらく見ないけど、出張中なの?」


 その言葉に私は、トマトの植わっている地面を見る。

 それからただ、笑顔だけでこたえた。

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