1花目 ~Another~ 気付いたら脅してました。
一世一代の告白をした。
しかも告白相手を脅す形で。
でもなぜだろう、あなたの怯えている様子を見ていると沸々と悪い気持ちが芽生えてくる。
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私は昔から、魔法を覚えるのは苦手だった、
しかし自分に向いた魔法がどんなものかは
瞬時に感じ取ることができる。
防ぐなんてそんな器用なことはできないが。
お昼を食べ始めてから突如
アンジュに忘却魔法をかけられたことは分かった。
しかし、アンジュのことを忘れるどころか
あの夢がより鮮明に私の頭に
無理矢理流れ込んできた。
なんだか全てがはっきり分かってしまいそうな気がする。
あのひとりぼっちの可哀想な女の子
あの物語のなかの女の子に強く憧れていた女の子
彼女は多分…。
グルグルグルグル回る頭
グルグルグルグル回る思考
だけど心の中はやっと気づいたかと言わんばかりに
冷たく冷静だった。
私に魔法を放ってからやけにアンジュと目が合う。
完全に動揺してる。
私も仕掛けられた魔法とほぼ真逆の効果が自身の身に現れ、少し動揺している。
でも平気なふりをして揺さぶってみたくなった。
「?
どうかした?
アンジュ。」
このルートもこの彼女の表情も
前世では見たことがない。
「いや…。あ、ほっぺに付いてる、
ひょっとしてあなたっておっちょこちょいなの?」
ほっぺにはなにも付いてる気がしないけど、
取るふりをしてこちらの様子をうかがう彼女は
なぜだろう、今までの凛とした美しさと反していて
年相応でとても可愛らしい。
私はこの奇跡を絶対に逃したくないと思ってしまった。
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…これは私にとってやっと掴んだチャンスなの。
アンジュ、あなたが私のそばにいるうちに
私のことをしっかり見て、好きになってほしい。
卒業までの2年間で私のことを好きになれなかったら、私から離れてしまっても大丈夫。
その場合は私はもうあなたと会わないで
あなたの秘密も一生口に出さないことを誓うよ。」
そう、これは私に神様がくれた奇跡的なチャンスなのだ。
ずっと見ていた夢が
そう《私》自身に訴えてくる。
「…じゃあこれから親友からよろしくね、
委員長。」
憧れのあなたを脅すなんて、
しかもあなたのトラウマの両親に関して脅すなんて
気が引けるけど。
あなたはこの手を取るしかないよね。
アンジュがか弱い力で少し不機嫌な顔をしつつも
ゆっくりと私の手を握る。
《私》の胸は怖いくらいに高鳴った。
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