第2話「アマビエの一日」

 「アマビエ♂の日常」登場人物紹介

 

 アマビエ

 疫病退散妖怪連合えきびょうたいさんようかいれんごうリーダー、半魚人型人魚の妖怪。


 アマビエ-aiイメージイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093085233835460


 神社姫

 疫病退散妖怪連合メンバー、紅一点、蛇姫。美人。


 神社姫-a1イメージイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093085387515135


 アマビコ

 疫病退散妖怪連合NO2、アマビエのブラザー。獣型妖怪。


 アマビコ-aiイメージイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093085409784239


 くだん

 疫病退散妖怪連合メンバー、体は牛、人面の赤ちゃん妖怪。


 くだん-aiイメージイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093085423343370


 ヨゲンノトリ

 疫病退散妖怪連合メンバー、頭が二つあるカラス型妖怪。


 ヨゲンノトリaiイメージイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093085455006345


 ★☆∴─────────────────────────∴★☆



 アマビエは疫病達と戦っていない時、普段は、何をしているのか?

 妖怪だけど修行の他は、私達、人間のしている生活とほぼ、変わらない。


 早朝、6時、起床。仲間が起きて来るまでに朝食の準備を終わらせる。



「よし、昨日はパンだったから、今日はご飯だ」



 今日のメニューは、ご飯、わかめと豆腐の味噌汁、納豆と生卵らしい。

 なかなか、マメな妖怪アマビエ。

 朝食を用意すると、今度は洗濯機を回し始める。



「物価が年々、高くなって困ったもんだ」



 アマビエが、スマホニュースを閲覧しながら、居間に入ってくると神社姫じんじゃひめとヨゲンノトリが席に着いて、朝食を取っていた。

 アマビエが入って来たのを気がついた神社姫がアマビエに言う。



「ねえん、アマビエ。あたし、納豆嫌~い。ハムエッグにしてよん」


「何言ってんだ。納豆は、体に良いんだぞ」



 彼は、神社姫に説教する。


「いやん、アマビエ、お母さんみたい。うるさいん」


「口が悪い! 誰が、おかんだ! 誰が」


 アマビエが軽く神社姫を睨む。


「きゃんっ、怖い♪」と言いながらも、余裕しゃくしゃくな彼女。


 アマビエが横目で、ヨゲンノトリをちらと見ると、納豆に悪戦苦闘していた。


「クアアッ!アニキ―、納豆が、納豆が。クチバシにくっついて!ギャースギャース!」


「ああ、どいつもこいつも、朝からうるせ」


 アマビエは、思わず、溜め息を吐くと納豆を下げて台所に入った。





 🔷






 ―――数分後。



 アマビエは、人数分のハムエッグを作って木製のトレイに乗せて持ってきた。


「ああんっ、アマビエ。ありがとん」


「アニキ―、オレタチ感激――!!!」


「ああ、うるせえ。はよ、食え。仕事に遅れるだろ」


「アマビエおかあ……」



 神社姫がニヤニヤしながら、ふさげて言いかけた時、「やめれ!」とアマビエがピシャリと言い放つ。


 アマビエが納豆と、卵を混ぜたものをご飯に掛けて、食べていると、アマビコとくだんが起きて来た。


「ふあぁ~、眠いでちゅ」


 くだんが、ちっちゃい前足を口に当ててあくびをしている。



「アマビエ、今日は神社姫が、朝食当番じゃなかったか?」


 アマビコが何気なく、指摘する。


「ああ、今日は良いんだ」


 いつもなら、神社姫に当番について、厳しく指導するアマビエが、今日は言わない。


 アマビコは、不思議そうに首をひねった。


「ねえん、アマビエ。今日……」



 神社姫が言いかけて、アマビエは素っ気なく会話をさえぎる。



「早く、食って仕事行け」


「もう、なによん。ばか」


 少しだけ、神社姫の金色の目が涙で、潤んだ。





 🔷





 ―――夕方、6時。



 疫病討伐を終えて神社姫、アマビコ、ヨゲンノトリ、くだんが帰って来た。

 居間に入ると、テーブルの上には、ご馳走が並べられていた。


 秋の果物、ぶどうをふんだんに使ったフルーツケーキ、ローストビーフ、オードブル等。



「まんま、おいしそ~でちゅ~」


 くだんが、キラキラと目を輝かせて見ている。


「アニキのご馳走、美味そう美味そう。ギャーギャー」


 二つの頭で、やかましく騒ぐヨゲンノトリ。


「アマビエ、これは?」


 アマビコが聞くと、アマビエは、フルーツケーキを切り分けながら言った。


「――今日は、神社姫の誕生日だったろ」


 何事も無かったかのようにしれっと言いながら、うわんの化粧品店の包装紙に包まれたプレゼントを神社姫に手渡す。



 それを呆然ぼうぜんとしながら受け取る彼女。


「……アマビエ?」


 神社姫がふるふると震えている。



「うん……?」


「覚えててくれてたの?」


「まあ、仲間だし、な……」



「アマビエ、ありがとん。好き好きっっ!!」


「おわっ、引っ付くな!!?」




 赤面するアマビエと、嬉しそうにアマビエにくっつく神社姫。

 アマビエと、仲間達はにこやかに笑いながら、誕生日パーティーを始めた。


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