第7話 「紙ストローの味は?」お題・ストロー

 なめてるのか。

 何だこの、紙ストローというのは。

 せっかくのカフェラテも、紙の味しかしない。

 僕はどこかで見た、トイレットペーパーの芯をくわえた子犬の画像を思い返していた。


 それを思い出すと、これ以上飲む気も失せ、ただぐるぐるとカフェラテをかき混ぜる。

 からからいう氷の音を聞きつけたのか、隣の席の、同期の女子が顔をのぞかせた。


「どうしたの。飲まないの?」

 彼女の言葉に、紙ストローは飲む気がしない、と答える。


 すると彼女は、

「ふーん。じゃあ、ちょっとちょうだい?」

と、僕の返答も待たずにカップを取り上げ、紙ストローに口を付け、ごくりと飲み込んだ。


「私は気にならないけどな。美味しいよ。偏見へんけんを持たずに、ちゃんと飲んでみたら?」

 彼女はそう言うと、こちらにカップを渡してきた。


「……あ。う、うん……」

 頷いて、僕は紙ストローに口を付け、ごくりとカフェラテを飲み込む。

「ね? 美味しいでしょ?」

 笑顔で彼女が聞いてくる。


 けれども僕は顔が熱くて、さっき以上に、カフェラテの味なんてしなかった。

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