第6話 「次の半年」お題・半年

 今日から十月。この高校に入学して、もう半年だ。

 その間、制服は長そでから半袖に、そしてまた長袖へと戻った。


 たった半年で色々なことが変わった。

 新しい友達や、部活の仲間も出来た。

 だけど、一番変わったのは。


「おはよう。今日から長袖だね」

 通学路で出くわした、クラスメートの男子がそう言った。

「う、うん。何だか新鮮だよね」

 そうだね、と言って、彼が笑う。

 その笑顔に、胸がどきどきする。


 半年。

 色々なことがあった。

 けれど、私にとって一番重要な出来事は、あなたと出会ったことだ。


「急がないと、遅刻するよ。行こう」

 うなずいて、彼についていく。

 彼のその背中は、半年前より大きく見える気がする。

 それはきっと、あなたの存在が、私の中で大きくなっているから。

 そんなことを考えていると、彼は私のほうに振り返り、手を伸ばしてきた。


 ──あなたと出会って、まだ半年。


 次に半年経ったころ、私達はどんな関係になっているのかな。

 私はためらいながらも彼の手を取り、二人で教室に向けて、駆け出し始めた。

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