第5話 「悪くない味」お題・チョコミント

 アイスは、チョコミントが一番好き。


 そう言ったら、彼はチョコミントなんて歯磨はみがき粉だろ、とバニラアイスを食べながら返してきた。

 思わず、チョコミントアイスを食べていた手が止まる。


 それ、チョコミント好きな、全人類に対する宣戦布告せんせんふこくだよね⁉

 どうしてくれよう。彼に、思い知らせてやるには。

 少し考え、あるアイデアが思い浮かんだ。


 ……よし。これで行こう。


 私はチョコミントアイスを口にふくみ、彼の手を引っ張った。

 アイスを食べる手を止め、私に向き直る彼。

 その彼の唇に唇を重ね、舌をからめ、流し込んでやる。

 私の好きな、チョコミントを。

 唇を離すと、彼は真っ赤な顔をして、口の中のチョコミントをごくん、と飲み込んだ。


 ──ね? チョコミントも、悪くないでしょ?

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