第4話 「アリかな」お題・ラブレター

 生まれて初めて、ラブレターとやらを見た。


 私はあわてて下駄箱を閉め、周りの様子うかがう。

 ……誰もいない。

 よし、もう一度見てみよう。


 再び下駄箱を開けて、ラブレターを確認する。

 そこには気になってる、クラスメイトの男子の苗字が書いてあった。

 急いでかばんに入れ、トイレに行って確認する。そこに書いてあったのは、放課後、体育館の裏に来て欲しいということだった。


 放課後。私はラブレターに書いてあった通り、体育館裏にやって来た。

 今日は一日中、授業が頭に入って来なかった。いや、それはいつもか。


 とにかく、ラブレターの主を待つ。

 やがて、誰かがこちらへ駆けてくる音が聞こえてきた。

 急いでそちらへ振り向く。すると。


「あー、先輩! ホントに来てくれたんですね⁉ 私、嬉しいです‼」

 抱きつかれた。


 ──女の子に。


 ……しかしこの子、どこかで……。

 考えていると、その子が名乗った。彼と同じ苗字を。

 そうだ。何度か、彼と一緒にいるのを見たことがある。

 この子は、確か。


「えっと……妹さん、だっけ……?」

 彼の名前を出して確認すると、彼女はうなずいて答えた。


「はい、そうですぅ! 私、先輩が好きなんです! ダメですか⁉」

「いや……何ていうか……」

 そう言いながら、彼女を観察する。可愛らしい子だ。

 しかも声と体、全身で私を好きと表現してくれている。


 ……何だろう。悪い気はしない。


「まあ……こういうのも、アリかな?」

 そうつぶやくと、彼女は目一杯の笑顔ではい! と答えた。

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