第3話 「呼吸を整え終える前に」お題・呼吸

「は、ぁ……っ、……!」


 重ねていた唇を離され、私はどきどきの止まらない胸に手を当てながら、ゆっくり呼吸を整える。

 初めてのキス。

 頑張って応えようとしたけど、やり方が正しいかどうかなんて、全然わからない。


 彼は……どうなのかな?


 うつむいていた顔を上げ、そっと彼を盗み見る。

 すると、彼の顔がちょっと赤いことに気がついた。 

 彼が初めてなのかは、わからない。


 けれどその赤い顔はとても可愛らしく思えて、呼吸を整え終える前に、今度は私から彼の唇に唇を重ねていた。

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