第99話
『モネちゃんを狙う人間はまだ調べているところなんですが、彼女を狙う理由についてはこれじゃないかなっていう資料を見つけたんで、こちらも話しておこうかと』
100年近く前に発表された古い論文です、というインドさんの一言が添えられて、パッと切り替わったパソコンの画面。
四角の枠の中に文字がびっしりと埋め尽くされていたので、私の意識はふわ〜っと宇宙へと飛ばされかけた。
ダメダメ。これも私のために調べてくれたものなんだからと、なんとか気力で読んでみたけど。かろうじて頭に入ってきたのは、一番わかりやすく大きな文字で書かれている部分だけだった。
――"ゾアントロピー症候群の進化段階分析に基づく見解について"。
「ぞ、あん、とろぴー……?」
なんじゃそりゃ。全く聞いたことないカタカナの響きで、明日にはもう忘れていそうな単語だ。
困惑する私を見兼ねた新が補足の説明をしてくれる。
「獣化妄想、と呼ばれる疾病だね。発症すると人間らしい声や言葉を失って、一定時間ある動物になりきってしまう。症例も少なくてかなり珍しい病だったと思うよ」
「私みたいになる病気があるの?」
「いや、モネと違ってゾアントロピーは身体に獣の特徴が現れるわけではないから、精神疾患に近いものだね」
なるほど?ゾアンなんちゃらは三角耳とか尻尾は生えないってことね。オッケー、ここまではぎり理解できた。でもそれが何って感じである。
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