第98話
『それと、モネちゃんの家族について。モネちゃんが生まれてからつい先日まで監視を受けていますね。何度か接触もあったようです』
雷が脳天に落ちたような驚きで、言葉が詰まってしまう。
「……監視、とか。全然、知らない」
『ああ。モネちゃんは知らなくて当然だな。離島の暮らしぶりを聞く限り、ご家族はモネちゃんに対し必要最低限の接触しか許されていなかった。モネちゃんを孤立させれば後々捕まえやすくなるだろ?』
「モネのお姉さんも、脅されて仕方なくモネを追い出したのかもね」
『その可能性は高いです』
――過去の記憶が色づいていく。
景色が開けて、スッとする空気で肺が満たされるような、新鮮な何かで満たされた。
過度な期待はしない方がいいと分かっていても、思わずにはいられない。
母も姉も、本当は私のことを恨んでいないかもしれない……なんて。
「自分は愛される資格がないって、そう思ってたでしょう?」
曇りのない青い瞳が、私に笑いかけてくる。
……私はどんな顔をすればよかったんだろう。うまく表情が作れなくて悔しかった。新の言葉は誇張しすぎなことも多いけど、それに救われてもいたのに。
新の手首には私の尻尾がぐるんと巻き付いている。新は毛並みに沿ってやさしく撫でてくれたので、少しでも感謝が伝わったと思いたい。
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