第94話
「私、お菓子を作って売りたい」
今日の夕飯はお鍋だった。濃いだし汁に、殻つきのカニをさっとつけるカニすき。甘めな味付けの出汁が私好み、たっぷりの野菜も出汁を吸って口の中でとろけるくらい美味しい。
カニの殻と格闘しながら新にそれとなく相談すると、新はすぐに賛成してくれた。なんなら私よりやる気満々だった。
「売るならまずは通販かな?うちのショップサイトに、お菓子コーナーを作ろうか?セット売りもありだね。せっかくだからお菓子の包装デザインも可愛くしたいし、あとで制作会社に連絡入れてみるよ」
「新、まずは何を作るか決めないと」
「ああ、それもそうだ。食事の後にでも作ってみる?」
急遽、蔵の厨房でどのお菓子を作るかを話し合うことになり、あまりの展開の速さに目が回りそうだった。なぜか材料がばっちり揃ってるし。新はこのことも見越していた……?この人予知能力持ってるの?
「焼き菓子の詰め合わせが定番かな」
「じゃあ、まずはクッキー作る。バターと、チョコと、レモンと……抹茶、ほうじ茶味も作りたい」
「いいね。抹茶もほうじ茶もすごく好きだ。お菓子にしても最高に美味しいなんて、日本のお茶文化は本当に素晴らしい」
新は相変わらずジャパニーズカルチャーがお気に入りみたい。お茶について熱く語っている。こんなに喜んでくれるなら、抹茶のパウンドケーキとか、ほうじ茶のガトーショコラなんかも作ってみてもいいかもしれない。
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