第88話
用事を終えた男が、興味深そうにこちらをじろじろと見てくる。私の尻尾は怖さを紛らわせるように、新の腰にぎゅうぎゅうと巻きついた。
「猫ちゃん、ちょっと見ないうちに赤ん坊みたいになってんな?」
「……童顔マンに言われたくない」
「あ?誰が童顔マンだコラ」
肉食動物のような獰猛な目で睨まれるのはかなり怖かったけど、新の腕の中にいる私は気持ちが大きくなっていた。負けじと睨み返せば、男は馬鹿にしたような笑い声を上げる。
「お前さあ、カインドに甘やかされるだけの人生、楽しいか?情けないとかダセェとか思わねえの?」
「う、うるさい……そっちこそ新にビビってんのめっちゃダサいから。殺し屋なのに死ぬのが怖いとかダサすぎ!」
「ああ!?誰だって死ぬのがいっちばん怖いだろ!?カインドがいなけりゃなにもできない猫女が調子に乗ってんじゃねえぞ!」
「私だっていざとなれば1人で生きていけるもん!てか、生きるし!人間として!」
「モネ、相手にしなくていいんだよ」
息を荒くする私の背中を撫でたあと、新の冷ややかな視線は男へと向けられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます