第84話
煮え切らない言葉にイラッとして、我慢できずに言ってしまった。恋愛には興味ないくせに、という余計な一言は喉元でぐっと押し殺してあげた。
違うと否定されるだろうな。だから一応身構えていたけど、新は驚いたようにぱちぱちと瞬きを繰り返している。
「嫉妬……?」
漢字2文字を舌の上で転がすように呟いたあと、ぱあっと花が咲いたように笑う。
「ああ、そうかも。これが嫉妬か」
新の眼差しが垂れ下がり、空気の甘さ濃度が急上昇した。これは、予想外だ。
余計なことを言ってしまった気がして、私は焦りで目を泳がせた。
「あの、ち、違うかもよ?」
「いや、当たってると思う。だって、俺はモネを独り占めしたいんだから」
……私は項垂れるしかなかった。
新がタチの悪い飼い主へとレベルアップしたみたい。恋愛に興味のない人が独占欲を覚えてしまうの、絶対良くない。いろいろとややこしくなるじゃん。
あと、この私の鼓動の高鳴りも良くない、本当に良くない。あーもう、勘弁してほしい。
口角が上がりそうなのを必死に堪えてる私は、嫉妬されて喜んでいるみたいだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます