第79話

「そして4回フラれてます」


「……へ、へえ〜」


「変な生き物を見るような目で見ないでいただけます?」




 

そんなこと言われても無理だ。カフェオレをぐびっと豪快に飲む文香から目が離せない。既に「この人、新に4回告白したんだ……」のフィルターがかかっている。

 




「なので、私のことは気にせずお二人でじゃんじゃんイチャついてください。私の健康に良いので」

 




再び合掌した文香を見て、頭の中でゴーンとお寺の鐘が鳴った。どうしよう、全くもって意味がわからない。

 





「……ちゃんと説明して欲しいんだけど」





話を聞くと、ついさっき新が私の頬にキスをしているところを目撃したらしい。心臓を撃ち抜かれるような光景だったと興奮気味に詰め寄られた。





「私は本日"尊い"を学ばせていただきました。ありがとうございます。末永く幸せに暮らしてください」


「いや、私は居候の身だよ。末長くは無理」


「居候と言っても、お二人は恋人でしょう?いずれ末永くプランに移行するのでは?」


「……恋人じゃないし」

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