第78話

文香にもカフェオレを出したあと、新はエプロンを身につけ始めた。

 




「文香ちゃん、今日は時間ある?」


「はい。1時間ぐらいならここにいても問題ありません」


「それはちょうどいい。今から奥で焙煎をしてくるから、二人はここでお茶しておいてよ」


「えっ」





新の提案はちっともちょうどよくなんかない。私はいやいや首を振ったのに、新はぱちん!と陽気にウィンクして奥の部屋へと消えていった。


いや、嘘でしょ!?こんなに、こんなに分かりやすく拒否ってんのに!?気付かないわけないよね!?……ねえ!?




 

「……」

 

「……」

 




……絵に描いたような気まずさじゃん。



私はカフェオレに映る天井を意味もなくじっと見つめた。尻尾をくるりと足の間に巻き込んで、なるべく体を小さくして存在を消そうと心がける。



しばらく沈黙が続いたあと、先に口を割ったのは文香だった。





「私は新さんに4回告白しています」




 

沈黙をドーンと派手に爆破されて、私の目は点になった。

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