第70話
「モネ、尻尾は隠さなくていいの?」
言われてすぐに、新の腕に絡みついたままだった尻尾をグイッと手繰り寄せた。すると、新はおかしそうにくすくすと笑いはじめる。
「もーね?」
「……」
「こっち向いてくれないの?」
「……向かない!」
からかわれるって分かっているのに、近づくわけなくない!?私は鼻息を荒くしながら、できるだけ布団の端に体を寄せた。
楽しそうな声で名前を呼ばれ続けたけど、全部無視を決め込んだ。布団の端っこは寒い。でも我慢する。だって、応えたら負けだから。
このまま寝てしまおうと無理やり目を瞑る。
…しばらくすると、おだやかな沈黙が訪れた。
新は、寝てくれたのかな。よかった、なんとか逃げきれたと安堵してほっと息を吐いた、直後。
首筋にやわらかいものが落ちてくる。
「……な!?」
ちゅ、というリップ音とうなじを撫でるような吐息に、心臓が大きく跳ねた。
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