第69話
「モネって、本名だったんだね?」
いつものように二人で同じ布団にくるまっていると、喜びの滲む声が耳に入ってきた。新と同じ布団の中という、どんな要塞よりも安全な場所で微睡んでいたところだったので、すぐには思考が追いつかない。
「ほん、みょう?」
「インド君には事前にモネを狙う人間の調査依頼を出していたんだ。その時に、モネ自身のことも少し調べたみたいで」
「……あ、」
新の言葉をやっと理解できた後、迫り上がってきた羞恥で顔に熱が溜まっていくのを感じた。
……そうだった。新は偽名でもいいと言っていたのに、私は馬鹿正直に自分の名前を教えていたんだった。
まさかこんな形でバレてしまうなんて。居た堪れない気持ちに耐えられず、新に背を向けてスススッと布団に頭まで潜り込ませて身を隠した。
言っていることとやっていることが釣り合ってない、幼稚なやつだと思われたかも。散々突っぱねるような態度を取っていた自覚もあるから、余計に恥ずかしい。
これでもちゃんと警戒していたんだよ。
……絶対信じてもらえないだろうけど。
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