第68話
『彼らは人間世界にうまく紛れ込んでいるから、なかなか認知できないんだよ。俺たちに気づかれないように、ひっそりと生きている者が大半だから。てことは、モネちゃんのような獣人が他にいても不思議じゃない』
インドさんのは、獣人の存在を確信している声色だった。私は何度も頷くだけに止める。
……ありのままの自分を肯定されたような気がした。下手に言葉にすると泣いてしまいそうだった。
背後から背中を覆うようにして私を抱きしめた新は、耳元に唇を寄せてくる。
「いつか会えるといいね」
「……うん」
―― 一瞬、背中にある暖かな体温が消えてしまうことを想像した。慌てて頭の中から追い出したけど、心はひどく騒ついている。
私が他の獣人と出会えたら、新は私の前からいなくなってしまうかもしれない。それは少し、いや、かなり気分の悪くなる発想だった。
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