第67話

新の「モネのような存在にも理解がある」という発言は、とても興味をそそられるものだった。



私は離島の小さな田舎町で育ったというのもあって、狭い世界しか知らない。もちろん仲間に会ったことはないし、私の他に獣人がいるかもしれないなんて思いもしなかった。





もし、本当にいるなら会って話してみたい。私たちにしか分からない苦労話は絶対盛り上がるだろうし、今までどうやって生きてきたのか、人間としてどう生きていくのが正解なのかアドバイスも欲しい。



そうすれば、私はもっと前向きに生きていけるような気がする。




 

『……いや、獣人に会うのは初めてだ。人外の知り合いならいるけどな』





私が欲しい言葉ではなかったけど、俄然興味が湧いてくる内容だった。でも、インドさんは苦虫を潰したような顔をしている。



……その人とは仲良しってわけでもないのかも。




 

「知り合いってどんな人?」


『それは、ちょっと言えない。ただ、かなり生きにくそうにはしてるな』

 

「……ふーん。そっか」





色々と話が聞けると思ったので、少し残念。でも、言えない事情があるのはしょうがないと思える。



私も、私が知らないところで獣人であることをペラペラと話されるのは、絶対いやだ。不快どころの騒ぎではない。身の危険を感じてしまう。

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