第66話
ぎゅうっとしがみつく私に、困ったように笑う新。しばらく思案するように首をかしげたあと、私の顔を覗き込んできた。
「モネ。彼はこう見えてカレー屋を経営してるんだよ。しかも北インド系」
「…………へえ」
「インド君、ごめん。ダメみたい」
『いやいや、フォローが雑すぎますって』
北インドで何を挽回できると思ったんですか?と困惑ぎみのインドさんは、やっぱりまともな人間な気がしてならない。
新の無駄に整いすぎている容姿に騙されることなく、その天然ぶりをちゃんと理解しているように見える。
見た目で判断するのは良くない。そもそも私自身、人生で一番苦労してきたことが普通ではない容姿への偏見だった。にもかかわらず、私はインドさんに対し無意識に偏見の目で見てしまっていた。
自責の念に駆られ、唸ってしまいそうになるのをなんとか堪える。
「……インドさんは……」
ボソボソと話し始めた私の声はとてもか細いものだった。でも、インドさんには聞こえていたようで、先を促すようにニッと笑ってくれた。
「私以外の獣人に、会ったことがあるの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます