第66話

ぎゅうっとしがみつく私に、困ったように笑う新。しばらく思案するように首をかしげたあと、私の顔を覗き込んできた。

 




「モネ。彼はこう見えてカレー屋を経営してるんだよ。しかも北インド系」


「…………へえ」


「インド君、ごめん。ダメみたい」


『いやいや、フォローが雑すぎますって』





北インドで何を挽回できると思ったんですか?と困惑ぎみのインドさんは、やっぱりまともな人間な気がしてならない。



新の無駄に整いすぎている容姿に騙されることなく、その天然ぶりをちゃんと理解しているように見える。




見た目で判断するのは良くない。そもそも私自身、人生で一番苦労してきたことが普通ではない容姿への偏見だった。にもかかわらず、私はインドさんに対し無意識に偏見の目で見てしまっていた。



自責の念に駆られ、唸ってしまいそうになるのをなんとか堪える。





「……インドさんは……」



 

 

ボソボソと話し始めた私の声はとてもか細いものだった。でも、インドさんには聞こえていたようで、先を促すようにニッと笑ってくれた。





「私以外の獣人に、会ったことがあるの?」

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