第65話

「俺のこと探してた?」


「うん、声が聞こえて……誰と話してるの?」


「情報屋だよ。名前はインド君」

 

『……新さん。俺の名前、インドじゃないです』




スピーカーから聞こえる男の声。彼は新の発言にも訂正を入れられる人間らしい。




私は期待に胸を膨らませる。新の交友関係って物騒でどうしようもないんでしょとか思っていたけど、この人はもしかすると、とてもまともな人かもしれない……!




――と、少しワクワクしていたがために、画面に映る男を覗き見た時の衝撃はすごかった。長めの髪をハーフアップにし、耳にピアスがたくさん並び、そしてなにより、首にゴツいタトゥーが彫られている。




明らかにやからである。関わったらダメなタイプの人である。



私は目線を明後日の方向へとそらした。





『めっちゃ警戒されてんなあ、俺』



 

やっぱタトゥーがダメなのか?とうなじを撫でながら笑うインドさん。そうですね!個人的にそのでっかいタトゥーが1番怖いです!とは言えずにいると、新にひょいっと抱き上げられ、膝の上に座らされた。




慌てて体を捻って正面から新にしがみつく。PC画面を視界に入れないよう必死に抵抗した。

 




「インド君はね、モネのような存在にも理解があるんだ。怖い人じゃないよ?」




 

新に宥められて、そろ、とPC画面に再び視線を向けてみる。


 



『おお、すげえ。ほんとに猫耳が生えてる』



 

……やっぱ無理。全然無理。めっちゃ見てくるじゃんほんと無理!怖い!人の頭を突然鈍器で殴りつけたりしそうなビジュアルだもん!怖い!

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