第54話
午前中で家の掃除を完了させるつもりだったので、普通に落ち込んだ。三角耳もしょんもりと垂れ下がってしまう。
「全然掃除終わってない……」
「そう?すごく綺麗になってるよ?」
「寝室の埃しか取ってないもん」
「和室の拭き掃除は月1回程度でいいんだよ。だから十分です。ありがとう」
言いたいことが微妙に伝わっていない気がしたけれど、それよりも、頭をぽんぽんするそのこなすような行為に不満を抱いた。
三角耳を少し後ろに倒してみる。もっとちゃんと撫でてほしい。
私のしてほしいことを察したのか、新は後ろに梳くように撫でてきた。私は黙って撫でられる。長い尻尾がふよふよと揺れた。
撫でる手が動きを止めたので、不思議に思い見上げてみると、新もこちらを見下ろしていた。私たちは自然と目が合う形になる。
「……参ったなあ」
冬の光を見つめるみたいに、目を眇めている。この人が何に参ったのか皆目見当つかなくて、首を傾げていると。
「モネが可愛いすぎて困る」
新はマーライオンの如く、可愛いを吐き出し始める。
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