第52話

「卵かけご飯って美味しいよね。初めて食べた時はとっても感動したよ。俺、すっかりハマっちゃって、最近は毎朝食べるようになった」


「他の国じゃ食べないの?」


「卵の生食はあまり聞いたことないな。感覚的にはゲテモノ料理に近いというか。菌に汚染された卵を食べると最悪死ぬこともあるし」


「し、死ぬ……?」


「日本は衛生管理が徹底されているから、生で食べても大丈夫だよ。安心して」




 


その後、新はどこか誇らしげにTKGのことを語りながら、品性を感じさせる箸捌きで優雅に朝ごはんを口に運んでいた。



……新って、日本人は毎日こんな朝ごはんを食べていると思ってるのかもしれない。

 



その認識はたぶん間違いだと思う。間違いというか、絶対少数派。日本の朝は基本的に慌ただしいから、夕飯の残りとか弁当のおかずの残りってだけでも十分立派な朝ごはんに分類される。



でも、それを指摘するつもりは毛頭ない。だってめちゃくちゃ美味しいんだもん。これが毎朝食べられるなら、ずっと勘違いしたままでいるべきだ。

 




「ごはん、ぜんぶ美味しい」


「本当?嬉しいな。モネに言われると自信がつくよ」




 

しっかり煽てておく。これからもよろしく頼むよの気持ちを込めて。

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