第44話
効力がなくなった湯たんぽとマグカップが回収され、代わりに歯ブラシを渡される。
ココアを飲んだせいか口の中がざらついている気がして、歯を磨きたいなと思っていたところだった。さすがの気遣いに、私は新にお礼を述べる。
新はちょっとだけ驚いた顔を見せた後、うれしそうに笑っていた。
二人で1つの布団に潜る。新が擦り寄ってきたので、両手を突き出してそれを阻止した。寝る前に、ちゃんと聞いておきたかったから。
「新って、殺し屋なの?」
聞かれたくないことなんだろうなとは思う。新が必要以上に気遣いができてしまうのも、経歴を隠すためのカモフラージュなのかもしれない。でも、知らないままではいられない。理由はわからないけど、新のことはもっと知りたいと思ったから。
「昔の話だよ。もう足は洗った」
新の表情にはこれまで見たことのない薄暗さを感じた。深い青色の瞳が自信なさげに揺らいでいる。
「……俺のこと、怖い?」
「え?全く怖くないけど?」
そう即答すると、新の目は見開かれていく。
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