第41話

「それなりに元気はあるみたいで安心したよ。早速だけど、彼女の命を狙っているのは誰なのか教えてもらえる?」

 

「………」




男は口を開こうとしない。一触即発の空気が漂い始めたとき、薄雲に透ける月の光が庭に差し込んだ。

 


新の顔立ちが浮き彫りになる。わずかな月光の下でも新の美貌は陰ることはなく、退廃的で美しい。



男は驚愕で目を見開き、怯えるように視線を左右に彷徨わせ始めた。




 

「は……?う、嘘だろ……ま、まさか……」





蹴り飛ばされた犬のような、ひどく怯えた表情で男は呟く。

 




「カ、カインド…ジョン……?」


 



かいんど、じょん。

——って誰。

 

 


男は新のことを全く耳馴染みのない名前で呼んだ。頭の中ではてなマークが飛びかい、私がいくら考えても分かりそうにないので、答えを求めて新を見る。

 




「うーん。これは昔の、あだ名のようなものだね」

 




新は珍しく決まりの悪そうな笑みを見せたので、私に知られたくないことだったんだなと悟った。

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