第39話

体を覆う毛布の中には湯たんぽ2つ、そして、手の中のマグカップには暖かいミルクココア。全部私が寒さに耐えられるようにと新が用意したものだった。



体は寒さを感じないし、ココアはめっちゃ美味しい。毛布からはあの香りもするから、リラックス効果がすごい。冬も案外悪くないと思える。

 


……ただ、眺めがあまりよろしくなかった。



目の前の庭で男が縛られ、転がされている光景。お世辞でも素敵とは言えない。

 





新には「首は大切な神経があるんだから家の中で絶対安静」と言われたけど、私は頑なにそれを拒否した。



私の体は普通の人間よりは丈夫にできている。体の疲れは感じても、首のあざはすでに消えかかっている。それに、私だって私の命を狙う人が誰なのか知りたい。知る権利があると思う。


 


 

「私、ここにいる」


「……あの男の話は、モネにとって聞くに堪えない内容かもしれないよ」


「それでもいい。聞きたい」




 

私の意志が固いことを察した新は、防寒対策を施してくれた。ダメ元でココアが飲みたいとお願いしたら、すぐに手渡されて感心してしまう。さすが必殺お世話人。プロ魂を見せつけてきた。

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