第38話
背中をさすられると、ふわふわとした感情が頭の中を支配する。その手つきがとても気持ち良くて、すごくホッとする。
同時に、先ほどまでの激しい感情の波は私に過度なストレスを与えていたようで、疲労感がどっと溢れてきた。体が異様に重たく感じる。
私の異変に気づいた新が、そっと体を離す。私の顔を見とめて眉を八の字に下げたあと、首元に視線を向けた。
……人の目の温度が氷点下に変わる瞬間を、初めて目の当たりにした。
新の冷たい視線は異様な迫力に満ちている。私に向けられたわけではないと分かっているのに、ぞっとしてしまう。
目を細めながら、私の首を指でなぞる。そこにはおそらく、首を絞められたあとが残っている。
「……モネの健やかな暮らしを実現するためには、君の命を狙う人間は誰なのか。知る必要があるね」
新は穏やかに微笑んでから、ゆっくりと立ち上がった。
「彼に聞いてみようか」
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