第27話

下を脱いだときに、私は初めて怪我の部分を目にした。




……一言で感想を言うと、「見なきゃよかった」、これに尽きる。想像の3倍大きな切り傷だったし、なんか、縫ったような跡もあってグロい。




やっぱり、新にプロテクターをつけて貰えばよかった。




一瞬そう思ってしまったけどもう遅い。なるべく視界に入れないように気をつけながらプロテクターをつけて、片足を引きずるようにして浴室へと向かう。




 

「え、すご……」


 



お風呂は木の温もりを感じる素敵空間だった。大きな窓からは簡易的な庭と白い月が見える。



ずるい。こんなの、お風呂嫌いの私でもテンションが上がってしまう。温泉施設はテレビの中でしか見たことはなかったけど……ふーん。悪くないじゃん。

 


……2回、かな。

2回このお風呂を堪能したら、この家を去ろうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る